SONYのZV-E10は動画を撮るのに良いみたいだけど、どんなスペックなの?
ZV-E10が気になってるけど、スペックを見てもイマイチ分からないという人も多いはず。
そんな方に向けて、ZV-E10のスペックをわかりやすく解説した上で、どんな人が買うべきかなのかをお話します。
この記事の筆者は写真家兼ライターの「とも」です。
全国を旅して風景を撮影したり、写真好きの皆さんに役立つ情報を発信しています。
そんな筆者はSONY ZV-E10の愛用者です。
ユーザーの目線で、ZV-E10の基本スペックをたっぷり調べ、特徴の検証も行なってきました。きっと皆さんに役立つ情報をお伝えできる思います。
ということで今回は「SONYのVlog用カメラ『ZV-E10』のスペックは?【買うべきかどうか】」というテーマでお話します。
ZV-E10の基本スペック
まずはZV-E10の概要を知るべく、基本スペックをお伝えしておきます。
「ホームページを見ても何がなんだか」という方はここで整理しておきましょう。
ということで、基本スペックはコチラ!
- センサー:APS-C
- 画 素 数:2,420万画素
- 最大ISO :32,000
- 重 さ:343g
- 動 画:4K30fps、フルHD120fps
そして、気になるお値段はおよそ7.1万円。とりあえずコスパはとんでもなく高いことだけ先にお伝えしておきます。
それでは基本スペックについて解説していきます!
センサー
まずはセンサーサイズです。
センサーが大きいと強いボケが使えるので、被写体を強調したり奥行きの表現ができます。
そして、ZV-E10には『APS-C』というセンサーが搭載されています。初めてカメラを買う人には取っ付きにくい名前ですが、簡単に言うと「大きめのセンサー」です。
詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
SONY人気のVlogカム「ZV-1」(1型センサー)と比べると3倍以上の面積だし、アクションカムとして人気の「GoProシリーズ」(1/2.3型センサー)と比べれば12倍以上です。
ただ、一眼カメラとしては標準サイズなので「Vlogカムとしては大きい」と思ってもらえればOKです。
APS-Cセンサーの大きなボケは、これまでのVlogカムより表現の幅を広げてくれます。
画素数
画素数が多いと、写真に大判印刷やトリミングをかけても画像が粗くなりません。
動画に関して言うと、1,000万画素あれば十分4K撮影できます。
ZV-E10の画素数は2,420万画素。一眼カメラとしては標準的で、Vlogカムとしてはほんの少し多めといった感じ。
SONY「α6400」や「α7iii」と全く同じ画素数になります。ZV-1も2,010万画素なので、あまり変わらないですね。
2,420万画素あれば動画には十分過ぎるし、写真撮影にもバッチリです。サムネ用写真もZV-E10で撮れますね。
最大ISO感度
最大ISO感度が大きいと、暗い場所で撮影してもノイズが出にくいです。
ZV-E10の最大ISO感度は32,000で、一眼カメラとしては標準的ですがVlogカムとしてはかなり高め。ZV-1の3倍ほどあります。
暗い場所での動画撮影に強いと言えそうですね。
最大ISO感度が高いので、これまでのVlogカムより暗所撮影にかなり強いです。
重さ
重さは動画撮影においてかなり重要。
いくら高画質の動画を撮れても、重いと使う気がなくなります。(いやホントに)
ZV-E10の重さは343g(レンズ無し・バッテリー込)で、一眼カメラとしてはかなり軽量。同じAPS-Cの一眼カメラ「α6400」の重さは403gなので、軽量化されていることがわかります。
では、VlogカムであるZV-1と比べるとどうでしょう?
ZV-1の重さはレンズ付きで294gなのでもの凄く軽いです。しかし、センサーサイズの違いを考えればもっと差が出ても良いくらい。ZV-E10はかなり善戦してると思います。
かなり軽量化されているZV-E10ですが、最終的な重さはレンズと合わせて決まります。この軽さを台無しにしないレンズを選びたいですね。
動画(解像度とフレームレート)
最後は動画のスペックです。
フルHDや4K動画が撮れるのは当たり前になっているわけですが、「フレームレート」はどうでしょう?
フレームレートとは動画の滑らかさのことで、1秒あたり何枚の画像で動画が構成されるかを表します。単位はfps(フィルム パー セカンド)で、24fps、30fps、60fps、120fpsが主要フレームレートです。
24fpsは映画やアニメでよく使われ、30は自然な動きでテレビに使われます。60になるとヌルヌルで、120はゆっくり再生してスローモーション映像にしたりします。
大きなレートで撮影できるかどうかは、カメラの性能次第ということです。
ZV-E10は4Kだと30fps、フルHDなら120fpsまで撮影可能。ただ、4K30fpsは画角がクロップされる(狭くなる)ので、クロップが嫌な人は4K24fpsまでということになります。
このスペックがどうかと言うと、一眼カメラとしては標準的。Vlogカムとしても標準的で、ZV-1と全く同じ性能です。
動画機として売り込むなら4K30fpsのクロップはどうにかして欲しかったという感じです。
悪い性能ではありませんが、動画機としての期待が高かった分クロップが残念なのです。
以上、ZV-E10の基本スペックについてお話しました!
一眼カメラとして標準的な性能を持ちながら、しっかり軽量化されていて素晴らしいと思います。ただ、動画機にしては動画性能が物足りない感じもあります。
ではここから、ZV-E10の注目すべきスペックについてお話していきます。
ここまでの印象を大きく変える機能が出てくるかもしれませんので、お見逃しなく。
ZV-E10の注目すべきスペック
いよいよ、ZV-E10の注目すべきスペックについて解説します。
注目すべきスペックはこちら!
- レンズ交換式Vlogカム
- アクティブ手ぶれ補正
- ウィンドスクリーン
- 動画撮影用のレイアウト
- 多彩な効果(商品レビュー・ボケ切替・人肌調整)
先ほど紹介した基本スペックに比べて、ZV-E10だけの特徴的なものが多いです。
この5つの特徴を理解した上で、買うべきか判断しましょう。
ということで、それぞれ解説していきます!
レンズ交換式Vlogカム
ZV-E10は「レンズ交換式」Vlogカムです。
レンズを替えることで、画角やボケ具合を変えられるのがレンズ交換式カメラの強み。
ZV-1やGoProはレンズ交換できないカメラなので、とても大きな違いです。
ちなみに、写真の画角とボケ具合を決めるのはレンズの「焦点距離」と「F値」です。この2つについて理解しておきたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、ZV-E10とレンズとの接合部分(マウント)は、既存のミラーレスカメラと同じ形です。
つまり、既に一眼カメラを持っている人は、持っているレンズをZV-E10に装着することもできるというわけ。レンズ交換式は既存のカメラユーザーにも嬉しいのです。
「レンズ交換はまだ早い」という方は、とりあえずキットズームレンズを買っておけばOK。広角から望遠に近い画角まで変えられるので、自由度は十分高いです。
アクティブ手ぶれ補正
ZV-E10にはアクティブ手ぶれ補正がついており、手ぶれの少ない滑らかな動画を撮影できます。
ZV-1にはついてる機能ですが、α6400などの一眼カメラにはついていません。
手ぶれ補正は動画撮影に必須の機能で、物理的にぶれを補正する「光学式」とソフトで処理する「電子式」の2つがあります。
そして、アクティブ手ぶれ補正は「電子式」の方です。
ZV-E10に電子式だけがついてる理由は、次の2つではないかと思います。
- 光学式をつけるとパーツの分重くなる
- 光学式補正はレンズに任せて、カメラは電子式だけ担う
この考えなら納得できる気がします。
しかし、アクティブ補正を使うと画角が大きくクロップ(1.44倍)されるので、より焦点距離の小さいレンズが必要になります。アクティブ補正を使いつつ自撮りするならキットレンズでは狭いので、焦点距離10mmほどのレンズを用意しましょう。
また、静止画撮影ではアクティブ補正を使えないので、これも覚えておきましょう。
電子式補正はカメラで行い、光学式補正はレンズで行うというのは良い考えだなと思います。しかし、手ぶれ補正の無いレンズもあるので、レンズ選びを慎重にする必要がありそうです。
ウィンドスクリーン
ZV-E10には専用のウィンドスクリーンがついています。
ウィンドスクリーンはマイクの風除けみたいなもので、有るのと無いので音質が全然違います。ZV-1にはついていますが、他の一眼カメラにはついていません。
実は、SONY製カメラの内蔵マイクは音質が良いと評判で、「せっかく高音質マイクがついてるのに風切り音が入って使えない」というのが多くのユーザーの悩みでした。
自分でウィンドスクリーンを購入してあの手この手でカメラに取り付けようとしますが、ボタンが押しにくくなったり、すぐ外れたりで大変。
なので、この配慮はとても嬉しいです。
動画を撮らない人からすると「あのモフモフなんか意味あるのかな?」と思っちゃいますが、ウィンドスクリーンの効果は絶大。それが標準装備されてるのはかなり良いです。
動画撮影用のレイアウト
ZV-E10のパネルやボタンは動画撮影用にレイアウトされています。
通常の一眼カメラは、録画ボタンが小さかったり背面にあって押しにくいのですが、ZV-E10の録画ボタンは大きめで、上面にあるので押しやすいです。
他のダイヤルやボタンは少なくて、簡素化されている印象。
また、液晶モニターは「バリアングル」タイプです。バリアングルとは、モニターを横に開いて360度回転できるタイプ。これなら自撮りもしやすいし、あらゆる体勢でモニターを見ながら撮影できます。
SONYの一眼カメラは「チルト」という回転しないタイプが多かったので「なんでバリアングルじゃないんだ」という声は多かったです。
動画機として売り込んでいるZV-E10がバリアングルじゃなかったら、批判は避けられなかったでしょう。
ちなみに、ZV-E10のレイアウトを確認する動画もあるので良ければどうぞ。
適切なボタン配置とバリアングル液晶で、快適に動画撮影できます。
多彩な効果(商品レビュー・ボケ切替・美肌効果)
ZV-E10には用途に応じて簡単に効果を出せる機能がいくつかあります。
例えば商品の紹介動画を撮る場合、商品をアップで映そうとしてもピントが人から商品へ移ってくれないことがあります。そんな時に『商品レビュー設定』をしておけば、ピントがすぐに移ってくれるのです。こんな機能今まで無かった。
他にも「背景をボカしたいけど、F値やシャッタースピードがうまく設定できない」という人でも『ボケ切替』を使えば簡単に背景ボケを出すことができます。
3段階調節できる『美肌効果機能』だってあります。
このように、目的に応じた効果を簡単に出せる機能がZV-E10には搭載されているのです。
一眼カメラは知識がないと思い通りの撮影ができませんが、ZV-E10は知識なしでも撮影しやすくする機能がたっぷりです。
以上、ZV-E10の注目すべきスペックについてお話しました。
今までのVlogカムや一眼カメラに無い機能が盛り込まれていてなかなか面白いです。
では、ここまでに紹介したスペックを踏まえて、ZV-E10を買うべきか?についてお話していきます。
ZV-E10は買うべき?
ZV-E10を買うか決めるため、ここまでに何度も行った「α6400」と「ZV-1」の比較をまとめてみたいと思います。
まとめるにあたって、3機のお値段をお伝えしておきます。ZV-1がレンズ込みなので、他の2機もキットレンズ込みの値段とします。
- ZV-E10:8.1万円
- ZV-1 :7.7万円
- α6400:13.2万円
こんな感じです。最新にもかかわらず2番目の値段でした。
そして、まとめた結果がこちら。
ZV-E10 | ZV-1 | α6400 | |
値段 | ○ | ○ | △ |
センサー | ○ | △ | ○ |
画素数 | ○ | ○ | ○ |
最大ISO | ○ | △ | ○ |
動画 | ○ | ○ | ○ |
レンズ交換 | ○ | × | ○ |
手ぶれ補正 | ○ | ○ | × |
バリアングル | ○ | ○ | × |
操作性 | ○ | ○ | △ |
以上、買うべきです。
と言いたいところですが、重要なポイントをお伝えしていませんでした。ZV-E10にはファインダーがついていません。片目で覗くあれですね。
動画撮影する分には液晶で問題ありませんが、静止画撮影にはファインダーがとても大事。撮れないということはありませんが、モニターだと光が反射して細部の確認が難しいです。
また、動画機として超高性能かと言われればそうでもありません。
お値段40万円以上でかなり重いですが「α7Siii」や「FX3」というカメラもあります。フルサイズセンサーで光学式手ぶれ補正も搭載している最強の動画機です。
これらを勘案すると、動画撮影が中心で、高いコスパを求める人は買うべき!と言えます。
映像制作の入門機としてや、フルサイズで動画を撮ってきたけどちょっと重すぎるという人にオススメできそう。ZV-1やGoProからのステップアップとして買うのも良いですね。
以上、今回はZV-E10のスペックについての記事でした。長々とお付き合いいただきありがとうございました。
この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。
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