今回はSONYα6700のAIAFの性能を確認します。
AIAFがあるα6700と、同じセンサーが載っていると言われるFX30のAF性能を比べます。
この2機種はAFの方式も測距点の数も同じなので、比べることで純粋にAIチップの差が出るハズです。
以前AIAFを搭載している「ZV-E1」と、搭載していない「α7SIII」のAF性能を比較したらかなり大きな差が出たので今回も期待できそうです。
ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので、見やすい方でご覧下さい。
AF性能比較の方法
まずはAF性能の比較方法をお伝えしておきます。
被写体を検出するか
認識対象を「人物」に設定して画面を横切る被写体にAFを合わせてくれるか確認します。
AFのスタート位置を同じにするために、手前に物を置いてそこからピントが移るようにします。
認識対象を人物に設定しているので、人を検出次第、ピントが人に移ります。
横切る被写体の検証が終わったら念の為、正面を向いた被写体を検出するかも確認します。
フォーカスエリア
AFが働く範囲であるフォーカスエリアは一番広い「ワイド」に設定します。
特定の位置にいる被写体だけを狙うなら少し狭くした「ゾーン」や一番狭い「スポット」を使うと良いです。
今回は全域でAFが合うようにしたいので、ワイドです。
AFトランジション速度
AFが移る速さを決めるAFトランジション速度は最大の7に設定して、被写体を検出したらすぐにピントが移るようにします。
手前から奥にピントがゆっくり移るような表現をする時には、小さい数値を使うと良いです。
AF乗り移り感度
被写体の切り替わりやすさを決めるAF乗り移り感度も最大の5に設定します。
1つの被写体を粘り強く追い続けるなら小さくして、色んな被写体に切り替わりやすくするなら大きくすれば良いです。
今回はすぐに切り替わるように最大の5に設定します。
その他の設定
F値、SS、ISO感度、WB、フレームレートなどは念の為全て同じ設定で撮影します。
レンズもSELP1635Gを使って撮影します。
AF性能に影響するフォーカスエリア・AFトランジション速度・AF乗り移り感度は同じに設定
α6700とFX30のAF性能比較
それではα6700とFX30のAF性能を比較します。
人物の検出(横断)
遠距離
まずはα6700で遠距離の撮影です。
被写体が障害物と被っていない間だけですが、被写体を検出してくれました。
AF乗り移り感度を小さくしておけば、もっと追従性能が上がりそうです。
続いてFX30の遠距離の映像です。
FX30は被写体を認識してくれませんでした。
中距離
続いて中距離のα6700です。
こちらも距離が近くなって検出しやすくなり、結構長い間ピントを合わせてくれました。
続いて中距離のFX30です。
FX30は中距離でも被写体を検出してくれません。
近距離
最後に近距離のα6700です。
やはりバッチリ被写体検出してくれます。
そしてFX30の近距離です。
FX30は近距離でも被写体検出してくれませんでした。
AIAFは骨格情報をもとに体全体を認識してAFを合わせます。AIAFがないと顔を認識しないとAFを合わせられません。
人物の検出(正面)
今度は顔を認識しやすいように正面を向いて検出するか確認します。
遠距離(正面)
まずα6700の遠距離です。
やはりバッチリ検出してくれます。
続いてFX30です。
正面を向いても検出してくれません。
中距離(正面)
続いて中距離のα6700です。
もちろんバッチリ。
今度はFX30の中距離。
やはり合いません。
近距離(正面)
そして近距離です。
α6700はOK。
FX30は最後まで合いませんでした。
さらに近づくと、ようやくピントを合わせてくれました。
体全体で認識するか顔で認識するかの差はとても大きい
人物の検出(マスク)
ちなみにα6700はマスクをしていても人物を認識します。
体全体からの検出に加えて顔だけ見ても検出の精度が上がっています。
α6700とFX30の動物AF
続いて動物を撮影してみます。
FX30もα6700も検出対象に「動物」が入っているので、どんな違いが出るか確認してみました。
撮影に使ったのはSEL100400GMで、スローでじっくり見れるように4K120Pで撮りました。
この記事では動画を切り出していますが、YouTubeでは動画をご覧いただけます。
α6700もFX30も4K120Pは1.6倍クロップなので、250-1000mmほどの画角になります。
α6700の動物AF
まずα6700ですが、被写体をフレーミングしたら一瞬で被写体認識してくれます。
液晶やファインダー上では四角い枠が表示されるんですが、枠の表示のされ方を見ていると検出のレベルも3段階あるようです。
LV1 身体検出
1つ目は動物の体全体を検出している状態です。
後ろ姿や頭部が見えづらい状態だと体全体を枠が囲みます。
とりあえず被写体にピントを合わせてくれている状態です。
LV2 頭部検出
2つ目は頭部を検出している状態です。
顔を四角い枠が囲んでいます。ここまで検出できればかなり安心できます。
LV3 瞳検出
3つ目は瞳まで検出している状態です。
瞳に小さい枠が表示されます。瞳にピントが合っている状態なのでベストな状態と言えます。
とりあえず後ろ姿でも被写体検出してくれるのは、とてもありがたいです。
複数の動物がいると?
複数の動物が画面内にいるときは、さすがにカメラが撮影者の意図を察してくれるわけではありません。
被写体が頻繁に切り替わってしまいました。
こういう時は乗り移り感度を1や2に設定することで1つの被写体を追い続けられると思います。
FX30の動物AF
続いてFX30です。
FX30も正面を向いていたり瞳を認識しやすい状態で撮れば、しっかり被写体を認識します。
ただAIAFと違って体全体を認識して枠が表示されること(Lv1)はありませんでした。
瞳を認識した時は枠が表示されていました。
α7SIIIやFX3は動画では動物の被写体検出ができないので、それよりかなり快適ではあります。
しかし、後ろ姿を追い続けたりするのは難しいかもしれません。
犬を追いかけたい場面なのに何故か羊のお尻に枠が表示されて、被写体認識するという状況にもなりました。
精度はAIAFの方が上のようです。
ちなみに4K120PはSDカードの性能が低いと撮影てきません。
僕はSONYのビデオスピードクラスV90のカードを使っているので問題なしです。
FX30も動物検出に対応していない機種と比べると十分良い。しかしAIAFはさらに上
α6700の飛行機・昆虫・鳥AF
FX30との比較は以上ですが、α6700で他の検出対象も撮ってみました。
飛行機AF
7月30日に千歳市で航空祭があったので「ブルーインパルス」を撮ってみました。
今回も100400GMで4K120Pで撮影した映像を切り出しています。
認識対象を飛行機に設定すると、しっかり枠で囲まれて、被写体認識しているのがわかりました。
飛行機撮影では背後に空しかないので、一度AFが外れて被写体を見失うと、どこを撮っているのかもわからなくなります。
検出・追従性能が高いとそのリスクを抑えられてかなり重宝します。
編隊を組んでいる時は、とりあえずどれかの機体を枠が囲んでいる状態でした。
青空バックだととても映えたんですが、生憎、終始曇り空でした。また来年に期待したいと思います。
昆虫AF
認識対象を昆虫にして「アゲハ蝶」を撮影しました。
これも4K120Pですが、レンズは「SELP1635G」を使っています。
望遠端35mmにフルサイズ換算とクロップを考慮して85mmくらいの画角になっています。
基本的には体全体を大きな枠が囲んでいるんですが、たまに小さい枠が出た気がしました。
昆虫でも頭部を認識するのかもしれません。
やはり4K120Pのスローは生き物の仕草がじっくり見れて、観察や記録にうってつけだと思います。
鳥AF
あと前々回の記事でも紹介した通り、鳥の被写体検出も素晴らしいです。
枝葉の隙間でも、後ろ姿でも検出してくれたので、野鳥や野生動物のハードルはかなり下がりそうだなと思います。
今回は、α6700のAIAFの性能確認をやってきました。
AIAFがあると被写体を体全体で認識してくれるので、やはり撮影の難易度がかなり下がります。
今回は動画で紹介しましたが、もちろん静止画でも同等の性能が出るので、スチルユーザーにも嬉しい性能です。
あとAIAFと4K120Pの組み合わせは、肉眼では見逃すような一瞬の出来事を捉えてくれるので、生き物の撮影をする人にはこの上ないくらい良いカメラだと思います。
AIAFと4K120Pが使えるのは現状α6700とZV-E1だけなので、ここはカメラ選びのポイントになりそうです。
撮影とカメラ選びの参考にしてみてください。
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