「最初の1本はキットレンズで良いのか?」というのは、ほとんどの人が考えることだと思います。
そしてキットレンズについてネットで調べてみると批判的な意見が結構多いですよね。
その中には「キットレンズは使うな」という記事や動画もあるわけですが、こういった極論は無視してOKなのでその理由をお伝えします。
「キットレンズは使うな」は極論
キットレンズは使うなと言われる理由は大まかに次の通りです。
- 画質が悪い
- ボケが小さい
- 明るさが足りない
この内容は全然間違いではなくて、むしろ概ね正しいと思います。
解像感が出にくかったり、綺麗なボケも出にくい。開放F値も大きいので暗い場所だとノイズも乗りやすいです。
ただ、「レンズ選びはこれだけの要素では決まらない」というのも事実です。
ここだけをピックアップして「使うな」と言ってしまうのは、インパクト重視の極論であって信用できる発信内容とは思えません。
筆者は写真や動画を生業にしていてコンテストでの受賞経験もありますが、「キットレンズは使うな」などとは全く思っていません。
キットレンズは初心者にとって良い選択肢だと思っていますが、逆に「キットレンズを使うべき」とも思いません。
どのレンズにもメリットとデメリットがあるので、キットレンズについても両方理解して判断する必要があります。
キットレンズのメリット
キットレンズのメリットは次のとおりです。
- 画角の選択肢
- 軽さ
- 安さ
それぞれについてお話します。
画角の選択肢
キットレンズは画角を変えられる「ズームレンズ」であることがほとんどです。
画角は写真や動画の映る範囲のことで、画角を失敗すると撮りたいものをまともに撮ることすらできません。
旅行先の風景を撮りたいのに画角が狭くて一部しか撮れなかったり、子どもを撮りたいのに広すぎて何を撮ってるのかわからなかったり。
画質やボケ云々の前に、レンズ選びでまず大事なのは画角なんです。
撮りたいものや撮りたい画角が決まっているなら画角が1つの「単焦点レンズ」で良いと思います。
ただカメラ初心者で被写体や画角が完全に決まっている人はごく少数ではないでしょうか。
まず色んな画角を試すというのは、とても大事な行程だと思います。
そういう意味で、キットレンズは標準ズームレンズであることが多いので、メリットがあるわけです。
軽さ
一眼カメラを使うんだからある程度の重さは許容しないといけません。
しかし気軽に使える重さでなければ、持ち運びが億劫になって撮影機会が減っていく可能性もあります。
キットレンズは気軽に持ち出せるものが多いので、撮影のハードルは下がるはずです。
筆者も1kg近い単焦点レンズばかり使っていた時期もありましたが、重さと大きさに嫌気がさして、今では200〜500gほどのレンズばかりになりました。
もちろん必要な性能次第で重いものを使ったりもしますし、ボケの強い大口径単焦点に惹かれる気持ちもわかります。
しかし、まずはカメラを持ち出して撮影機会を増やすことも大事なので、軽いキットレンズから始めるメリットは大きいと思います。
安さ
キットレンズの安さもとても大きなメリットです。
いきなり高額の単焦点を買って「なんか違う」。次のレンズも「やっぱり違う」を繰り返してはキリがありません。
まずキットレンズで画角を理解して、次に、必要な画角の単焦点を買えば結果的に安くあがると思います。
冒頭にもお伝えしたとおり、キットレンズは画質やボケ・明るさに関して劣っていることが多いので、「次につなげるレンズ」と捉えても良いです。
キットレンズは単体で買うよりもカメラとセットで買うと安く済むことが多いですし、なんなら中古のキットレンズなら1万円未満で買えたりもします。
勢いで高額のレンズを買うよりも、計画的でお得にレンズ選びする方が良さそうです。
キットレンズのデメリット
冒頭にも挙げた3つのデメリットについてお話しておきます。
- 画質が悪い
- ボケが小さい
- 明るさが足りない
画質が悪い
画質にも「解像力」や「収差」「口径食」など色々ありますが、キットレンズにこのあたりを期待するのは正直無理があります。
当然、値段なりに他のレンズより性能が低い場合が多いわけです。
ただこれは「他のレンズと比べたら」の話です。
写真を見て「これキットレンズで撮ったな」と思われるようなことはまずないでしょう。
もちろん、同じ条件で撮った写真を比較すれば違いがわかりますし、印象に差は出ますが、明確な違いというのはやっぱり比較しないとわからないです。
そもそも写真も動画もレンズ性能より構図が与える影響が大きいですし、設定次第で画質も変わります。
レンズの画質の前に気をつけるべきことは山ほどあるので、ここにシビアになる必要はなさそうです。
ボケが小さい
「キットレンズは使うな」と言われる理由で特に多いのがこれではないでしょうか。
ボケを使った表現がしたくて一眼カメラを買う人もいると思うので、確かに大きなポイントです。
キットレンズは開放F3.5前後のレンズが多いので、ボケを活かした表現はかなり難しいです。
ボケはF値だけでなく、被写体との距離や焦点距離によっても変わりますが、手っ取り早いのはやはりF値を小さくすることです。
開放F値の小さい単焦点レンズが欲しくなるのもよくわかります。
しかしこれまでお伝えしたとおり、画角を知らずに無闇に手を出すと失敗するので、冷静に計画的にレンズ選びしましょう。
明るさが足りない
開放F値が大きいということは取り込める光の量が減るということ。
つまりキットレンズは、明るさが足りない暗いレンズが多いんです。
暗い環境での撮影はISO感度を上げる必要が出てきて、これによってノイズが発生します。
三脚などで固定してシャッタースピードを長くすれば光量を稼げますが、手持ち撮影や動画だとやはりISO感度を上げないといけません。
暗い場所での撮影がメインという方にとってF値はとても重要なので、無理にキットレンズを挟まなくても良いと思います。
しかしこの場合でも、画角については十分すぎるくらい考えておく必要がありそうです。
「キットレンズは使うな」のまとめ
今回の内容を簡単にまとめておきます。
どのレンズにもメリットとデメリットがあるのでそれを踏まえてレンズ選びする必要があります。
「キットレンズは使うな」というのは、デメリットばかりをピックアップした極論なので無視してOKです。
そしてキットレンズのメリットは次のとおりです。
- 画角の選択肢
- 軽さ
- 安さ
デメリットは次のとおり。
- 画質が悪い
- ボケが小さい
- 明るさが足りない
もちろん「キットレンズを使うべき」と言うつもりもなくて、単焦点やもっと明るいズームが必要な場合もあると思います。
今回お伝えしたかったのは、最終的にどのレンズを買うにしろ、「キットレンズは使うな」の一言で選択肢から外すのは勿体無いということです。
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