カメラの設定で「段数」って考える必要ある?
はい。段数で考えるクセをつけておくと設定が楽になります。
写真や映像の明るさ、つまり露出はデジタルカメラだと「F値」「SS(シャッタースピード)」「ISO感度」によって調整ができます。
あと動画などで「NDフィルター」を使う時にはND4とかND16のような濃度も関係します。
それぞれの単位や数字の大きさが全然違うので露出の考え方はよくわからないという方も多いと思います。
例えば、F値を2→2.8にするのとSSを1/50秒→1/100秒にするのは同じ
SSを1秒→1/30秒にするのとNDフィルターのND32を使うのが同じ
というのはイメージしづらかったりします。
もちろん撮影するときはカメラの露出値を見ながら調整すれば良いですが、機材選びや設定を練るときには自分の頭でざっくりでもイメージができると良いですし、仕組みは理解しておいた方がスッキリします。
なので今回はF値、SS、ISO感度、NDに共通して使える露出の単位である段数についてお話したいと思います。
ちなみにこの記事の筆者「とも」は写真・動画の両方でコンテスト受賞経験があり、豊富な経験と知識を活かして皆さんに役立つ情報をお伝えできると思っています。
そんな筆者が今回は「露出を段数で考えると良い理由」をお話します。
そもそも段数って何?
まずは段数とはどんなものなのかをお伝えします。
段というのはよく「SSを1段遅くする」とか「F値を1段下げる」というような使い方がされます。
違う設定項目でも意味は全く同じで1段は光の量が2倍になるという意味です。
SSでいうと1/100秒→1/50秒で光の量は2倍になりますし、F値だと2.8→2.0で光の量は2倍になっていて、どちらも1段です。
逆に1/100秒→1/200秒やF2.8→F4では光の量は1/2になります。
同じようにISO100→200も1段で、ND2→ND4も1段の差です。
そしてカメラの露出値として表示される+1.0EVとか-1.0EVも呼び方が違うだけで1段だったりします。
それぞれの単位や大きさが全然違いますが、「段」という共通できる単位があるので、これを使うと露出を考えやすくなるわけです。
あとは、SS、F値、ISO感度、NDそれぞれの1段の考え方がわかれば良いので、これについてお話します。
1段の考え方
SS・ISO感度・ND
SSとISO感度、NDについては、数字が2倍になったら1段と考えればOKです。
SSだと、1/200秒→1/100秒なら1段で、1/50秒で2段、1/25秒で3段という感じです。
最近のカメラはほとんどが1/3段刻みで設定ができるので、1/200秒と1/100秒の間に「1/125秒」と「1/160秒」があったりします。
ISO感度も100→200で1段、400で2段、800で3段になります。
NDフィルターを付けてない状態からND2をつけると1段、ND4で2段、ND8で3段暗くなるという感じで、続いて16,32,64,128,256と2倍になっていきます。
なのでSSとISO感度とNDは2倍で1段とシンプルに考えられるわけです。
F値
それに対してF値はちょっと考え方が違います。
具体的には数字が1.4倍で1段です。
1.4というのは√2の端数を切った値なので、正確に理解しておきたい方は√2倍で1段と覚えておくと良いです。
なんで√2なのかというと、F値は「焦点距離÷有効口径」という計算で出る数値で、円の面積が1/2πr^2であることを考えれば計算で出せると思います。
とりあえずは1.4倍で1段と考えれば問題ないので、F1から1段ずつF値を上げていくと、1.4、2.0、2.8、4.0、5.6、8、11という感じになります。
SSなどと同じように1/3段刻みだとそれぞれの間に2つずつ数字が入ります。
ちなみに、F値やSSは計算で出した数値と表示される数字が合わないことがあります。
例えばF5.6に1.4をかけると7.8になるんですが、表示されている数字はF8だったりします。
これはJISの規格で数字を丸めるようになっているだけで、実際の数字は計算したものが正しいと考えて良いと思います。
あとF1.4が計算しづらいという方はとりあえずキリの良い1.5倍で考えて、その数字よりちょっと下に知ってる数字がないか考えてみると良いです。
例えばF2を1段絞ることを考えると、とりあえず1.5倍して3。それよりちょっと下を考えるとF2.8があるなとか、F2.8の1.5倍は4.2だから、ちょっと下のF4かという感じです。
一番間違いないのは数字を丸暗記していくことですが、そこまでしたくないという方はこういうざっくりした計算も良いと思います。
以上をまとめると、SSとISO感度とNDはシンプルに数字が2倍で1段と考えればよくて、F値は数字が1.4倍で1段と捉えれば良いということです。
実際に段数で計算してみる
これを踏まえてちょっと例題みたいなものを考えてみます。
露出値を変えずにSSを1/50秒→1/250秒にするには、F値をF4→F○にすれば良いかを考えます。
まず1/250秒は1/50秒の5倍の早さです。
1/50秒の2段上は4倍の1/200秒で、それより少し早いので1/250秒は2.3段だと分かります。
どんなSSやF値があるかは、丸暗記でなくてもボンヤリ頭に入っている必要があります。
F4を2.3段明るくするには、まず2段明るくしてF2。それより0.3段明るいのでF1.8。
つまりF1.8にすれば良いという感じです。
もう1つ例を挙げると、露出値やSSを変えずにF5.6→F1.4にする場合ND○のフィルターを使えば良いか考えます。
F5.6→F1.4では数字が1/4になっているので√2の4乗。つまり4段明るくなります。
NDフィルターの4段は2の4乗なのでND16をつければ良いということになります。
撮影中にこういう計算をすることはあまりないかもしれませんが、それぞれの設定項目を同じ物差しで測れるというのは設定の理解を深めることにつながると思います。
あとNDフィルターを選ぶ時に役立ったり、レンズを選ぶときもこのF値だとSSをこれだけ早くできて動きものも撮りやすそうというイメージがわかきやすいと思います。
なかなかすぐ定着するものではないかもしれませんが、活用していただけると嬉しいです。
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