今回は高いカメラの方が綺麗に撮れるのか?についてお話していきます。
ミラーレス一眼カメラと言っても、10万円未満で買えるものから100万円近くするものまでいろいろあります。
この値段の差を見て「やっぱり高いカメラの方が綺麗に撮れるのかな?」と思う方は多いと思います。
今回はここについてお話していきます。
この記事を書いているのは写真家の奥睦志(おくともゆき)です。
撮影した写真はこちらのSNSでも紹介されています。
高いカメラなら綺麗に撮れる?
早速結論ですが、高いカメラなら綺麗に撮れるかというと、そうでもありません。
「結局は撮影者の技術次第!」とかそういう話はしません。
スペックや数字を見て、そうでもない理由をしっかり説明します。
高いカメラをけなしているわけではなく、なんなら筆者はα9IIIという結構高いカメラを使っています。
それは高いからというより、僕が必要としている性能をα9IIIが持っているから使っているんです。
綺麗に撮れるわけでもない理由
綺麗に撮れるわけでもない理由を具体例で解説します。
SONYのαシリーズで一番高価なのは『α1II』。
そしてミドルクラスの代表的な機種に『α7CII』があります。
値段が3~4倍違うこの2機種ですが、スペックを見てみるといろいろわかります。
スペック比較
高感度耐性の目安である最大常用ISO感度をみると、α1IIは32000でα7CIIは51200となっています。
これはつまり、SONY公式がα7CIIの方が高感度に強いと言っていることになります。
次に画素数を比べるとα1IIが5010万画素でα7CIIは3300万画素なのでα1IIの方が上です。
画素数に関してはα1IIの方が有利ということです。
ただ実際のところ、4Kモニターで830万画素、A3印刷(350dpi)で2300万画素必要だと考えると、α1IIの5010万画素画は無駄に大きい数字にも見えます。
もちろん、トリミング前提で撮影するなら画素数は多い方が良いですが、そうでないならα7CIIの3300万画素で十分の場合が多そうです。
あとは画像処理エンジンの新旧やカラープリセットの選択肢に差がある場合もあります。
これで画質が違うと感じることもあるかもしれません。
ただα1IIとα7CIIは画像処理エンジンも、使えるプリセットも同じなので、ここの差もありません。
つまり、高価なα1IIの方が綺麗な写真が撮れるというわけではなく、なんならα7CIIの方が暗い場所に強かったりもするわけです。
じゃあなんで高いの?
じゃあなんでα1IIは高いの?となるので、ここについて解説していきます。
素早い被写体
結論から言うと、α1IIは素早い被写体に対応できるから高いんです。
他にも豊富な機能を持っていはいますが、大きな理由はここにあります。
他のメーカーだとCanon EOS R1やNikon Z9も同じ理由で高額です。
素早い被写体というのはスポーツや乗り物、野生動物などです。
素早い被写体を撮るためには
- 高速連写
- 高速AF
- 高速読み出し
の3つが必要になり、そのための技術が詰め込んであります。
高速連写
高速の被写体は位置や、姿勢、角度、表情なども変わり続けるので、狙いすまして1枚で撮り切るというのはほぼ無理です。
なんなら同じ状況は二度と生まれないかもしれないので、撮り逃さないように連写をします。
被写体や求める精度に応じてコマ数が変わりますが、1秒10コマ前後では撮れないものが多いので高速連写が必要です。
高速AF
連写をしても被写体にピントが合っていなければ意味がないので、高速AFが必要になります。
高速機は各メーカーの最高レベルのAF性能を載せてあると思いますが、メーカーごとに性能や癖は違うと思います。
数年前はSONYのAFがとても評価されていましたが、最近は各社競争が激しくなってきている印象です。
高速読み出し
そして高速読み出し。
センサーの読み出しが遅いと、写真や動画の上下で読み出すタイミングがズレてローリングシャッター歪みになってしまいます。
この歪みは素早い被写体を撮るときに顕著になるので、高速機には読み出し速度も求められます。
Α9IIIだけはグローバルシャッターという読み出し方式なので完全に歪みは発生しません。
他の機種は厳密には歪みが発生しているわけですが、見てわかるレベルの歪みはほぼ出ないと考えていいようにも思います。
これらの高速性能は画質を上げたりするものではないですが、被写体によっては歩留まりに大きく影響するものです。

センサーサイズなどの違い
ここまでお伝えしたとおり、高いカメラなら綺麗に撮れるというわけではありません。
しかし、センサーサイズや新技術が画質に与える影響はあります。
センサーサイズ
センサーが大きければ画素数を増やしたり、1画素を大きくして高感度耐性を高めることができます。
センサーサイズが大きいほどカメラは高くなりやすいので、この意味では高いカメラの方が綺麗な傾向があるかもしれません。
しかし、フルサイズより高いAPS-Cもあるので値段で判断するのはやはり違います。
エンジンやセンサー
画像処理エンジンやセンサーが更新されることで画質が変わることもあります。
画像処理エンジンに関しては基本的に新しい方が画質にも良いです。
ただセンサーに関しては、積層型のように読み出しが早い代わりに高感度耐性が低くなることもあります。
やはり短所と長所はしっかり確認する必要があります。
まとめ
今回は高いカメラなら綺麗に撮れるのか?というテーマでお話しました。
結論としては、高いカメラも安いカメラも長所と短所があるので、値段に囚われない方が良いということです。
「高いカメラなら綺麗に撮れるハズ」と思って高いカメラに手を出すと、使いもしないスペックにお金を出すだけになるので注意してください。
今回はフラッグシップのα1IIという極端な例を挙げましたが、カメラには機種ごとの短所と長所が必ずあります。
高いカメラの方が豊富な機能を持っていることは多いですが、必ずしも画質の良さにつながるわけではありません。
結局は「自分の用途や目的に合うカメラを選ぶ」に尽きると思います。

コメント