LUMIX「S9」とSONY「α6700」のスペックを比較します。
価格帯も近くて軽量コンパクトな2機種ということで、どちらが良いのか気になる方も多いと思います。
ただα6700ユーザーとしては、とても重要な違いがあると感じているのでその辺りもお話します。
S9とα6700のスペック比較
それではS9とα6700のスペックを比較していきます。
画素数
S9が2420万画素なのに対してα6700は2600万画素です。
α6700の方が少し画素数が多いということになります。
ただ、200万画素の差を感じる機会はほぼなさそうなので、同じくらいと考えて良いです。
最大常用ISO感度
最大常用ISO感度は暗所性能の目安になります。
数値が高いほど暗い場所でもノイズを抑えた撮影ができます。
S9は51200でα6700は32000です。
やはり、フルサイズ機のS9の方が暗所性能は上ということです。
手ぶれ補正
S9もα6700も光学式5段の手ぶれ補正が搭載されています。
数字だけ見ると補正性能は同じのようです。
ただ、手ぶれ補正性能の計測はCIPAで規格が決まっているものの、測定に使うレンズ(焦点距離)はバラバラなので、なんとも言えないところです。
また、動画の手ぶれ補正性能も段数では測れないので、実際に比較しないと優劣がつけられないです。
動画の解像度
動画で使える解像度には小さい方からFHD、4K、6K、8Kとあります。
S9は6Kまで撮影できてα6700は4Kまでなので、解像度の選択肢はS9の方が多いです。
フレームレート
フレームレートは映像1秒あたりのコマ数のこと。
24、30、60、120、240などが使われます。
高い解像度で高いフレームレートが使えると動画機としてのスペックが高くなります。
S9は6Kで30Pまで、4Kで60Pまでになります。
α6700は4Kで120Pまで使えます。
また、S9の4K60PはAPS-Cクロップ(画角が1.5倍狭くなる)されるので注意が必要です。
α6700は4K60Pのクロップはありませんが、4K120Pでは1.6倍ほどクロップされます。
連写速度
S9が30枚/秒でα6700は11枚/秒です。
連写速度はS9の方がかなり上になります。
また、シャッターボタンを全押しする前に遡って写真を記録するプリ連写機能もS9にはあります。
重さ
S9は486gでα6700は493gです。
数gの重さの違いはありますが、ほぼ同じと考えて良さそうです。
α6700のメリット
それぞれのメリットをお話します。
まずはα6700からです。
メカシャッター(歪み)
α6700にはメカシャッターが搭載されていて、S9にはありません。
素早い被写体を撮ったり、カメラを素早く動かした時には「ローリングシャッター歪み」というものが発生します。
歪みを抑えるために、静止画ではメカシャッターが使われることが多いわけですが、S9にはこれがありません。
α6700なら動体撮影でも安心ですが、S9は歪みへの耐性がないということです。
そして連写についてですが、そもそも連写は動く被写体に対して使われることが多いです。
連写性能だけ高くても歪みが出ると台無しになるので、S9の連写性能をうまく活かせる場面は少ないかもしれません。
動画に関してはメカシャッターが使えないので、両機種とも歪み耐性は高くありません。
動画の歪みを抑えるなら低画素のZV-E1や積層型センサーの機種が有利になります。
メカシャッター(フラッシュ)
メカシャッターがあるメリットは歪み以外にもあります。
それはフラッシュの使用です。
細かい話は省略しますが、メカシャッターがない機種やセンサーの読み出しが遅い機種では、フラッシュの使用が難しくなります。
実際にS9ではフラッシュが使えずα6700なら使用可能。
ポートレートなどでフラッシュの使用を考えているなら、S9の選択肢はなくなります。
解像度とフレームレート
S9は6K解像度が使えてα6700は4K120Pが使えるので、一長一短とも言えます。
ただ、6K解像度が必要とされる場面は少ないという現状もあります。
多くのプラットフォームではFHD、4K、8Kを採用されることはあっても6Kは採用されないからです。
また、視聴するモニター類も4Kで十分とされることが多いです。
それに対してα6700で使える4K120Pは24P変換することで5倍スローモーションにできるので、映像表現の幅が広がります。
6K30Pよりも4K120Pを求めるクリエイターは多いように思います。
ファインダー
α6700にはファインダーがあってS9にはありません。
ファインダーがあると日光などの反射を受けずにモニタリングできたり没入感にも差がでます。
α6700のファインダーにはアイピースカップもつけられて、遮光性や安定性も良好です。
同じくSONY機のα7CIIにはアイピースカップがつけられないので、こちらとも違いがあります。
動画記録時間
S9の動画記録時間は4Kで15分、6Kで10分に制限されています。
α6700には制限がないので、バッテリーが続く限り撮影が可能です。
ただ、コンパクト機種は放熱がうまくいかず熱停止する可能性は高いです。
なので熱については両機種で注意すべきポイントです。
グリップ
α6700にはグリップがありますが、S9にはありません。
グリップがないと片手で持ち歩くのは厳しいですし、重い大口径、望遠レンズでの撮影も厳しくなります。
軽いレンズしか使用しないなら深く考えなくていいかもしれません。
ただ、グリップが無いとレンズの選択肢を狭めることは理解しておいた方が良いです。
結局グリップを後付けする人も多そうな気もします。
グリップを後付けしない場合はストラップをつけることになりそうですが、ストラップも動画撮影で他の機材に干渉するので、邪魔になる可能性が高いです。
S9のメリット
続いてS9のメリットを紹介します。
デザイン
シンプルでスタイリッシュなデザインに惹かれてS9を購入する方は多いと思います。
カラーバリエーションも豊富なので、ファッション的な役割や楽しく撮影するためのカメラとして選ばれるのではないでしょうか。
リアルタイムLUT
カメラ内に取り込んだLUTを当てて、自分好みの作品に仕上げることが可能です。
α6700にもPPLUTという動画用の機能はありますが、静止画向けの機能はありません。
RAWで撮ってPCで現像してスマホに送るという手間を省略できるわけです。
SNSにアップするまでの手間も少ないので、これは若いユーザーにとって大きなポイントかなと思います。
6K撮影
α6700にはできない6K撮影はS9のメリットと言えると思います。
ただ、6K映像をどう使うか?は考えておく必要があります。
実際、6Kで投稿できるプラットフォームはそうありません。
例えば、4K映像を作るための「切りシロ」として活用するといった、具体的な用途目的がないと6K映像を撮ろうという発想にならないと思います。
フルサイズ
α6700はAPS-CでS9はフルサイズなので、センサーの大きさに違いがあります。
センサーサイズは被写界深度つまりボケ量にも影響があって、より強いボケを活かした撮影をしたいならS9の方が有利になります。
また、冒頭にも紹介した通り、画素数は同じくらいでも暗所性能はS9の方が上で、この違いもセンサーサイズによるものです。
S9とα6700の比較まとめ
S9とα6700の比較を簡単にまとめておきます。
S9
まずはS9のメリット。
- 連写速度
- デザイン
- 6K撮影
- フルサイズ
- リアルタイムLUT
S9については、やはりデザインとリアルタイムLUT、センサーサイズが占める部分が大きいと思います。
歪みを考えると連写性能を活かせる場面は少なそう。
6K撮影もメリットではありますが、4Kではなく6Kである必要性を見出せる人は少なそうです。
やはりファッション的に使うカメラという印象です。
α6700
続いてα6700のメリット。
- メカシャッター
- ファインダー
- フレームレート
- グリップ
- 動画記録時間
α6700については、やはりメカシャッターの存在が大きいです。
歪み抑制やフラッシュ使用を考えるとS9の選択肢はハッキリ言ってなくなります。
また、グリップがあるので片手で気軽に持ち歩けて、比較的大きなレンズにも対応しやすいです。
4K120P由来の5倍スローモーションが撮れるのも映像クリエイターとしては大きな魅力になります。
以上、機材選びの参考にしてみてください。
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