今回はLUMIX「S9」とSONY「ZV-E1」の歩き撮影で手ぶれ補正性能を確認していきます。
動画での手ぶれ補正効果の確認なので、YouTube動画を視聴されるのをオススメします。
比較の前提条件
早速検証したいと思うんですが、とても重要な前提条件からお話しておきます。
ZV-E1
ZV-E1の動画で使える手ぶれ補正設定は次の3つです。
- スタンダード
- アクティブ
- ダイナミックアクティブ
順に補正効果が高くなりますが、代わりに画角が狭くなって、アクティブモードで1.1倍ほど、ダイナミックアクティブで1.43倍くらいです。
今回、20mmの画角で撮影するので20mm、23mm、29mmくらいの画角になるということです。
レンズは手ぶれ補正のないSELP1635Gを使います。
S9
S9の方手ぶれ補正設定は次のとおりです。
- 通常
- 電子式補正 標準
- 電子式補正 強
- ブースト
電子式補正はやはりクロップがかかって、標準で1.1倍、強で1.43倍というのが公式情報で出ています。
ブーストについては後ほど紹介します。
レンズはキットレンズの20-60mmを使いますが、こちらも手ぶれ補正はついていません。
レンズ内補正の必要性
「レンズ内手ぶれ補正もあった方が良いんじゃないか」という話があると思います。
ただSONYカメラについては、広角や標準域ではレンズに手ぶれ補正があってもほぼ効果が変わらないことがわかっています。
もちろん、ボディに手ぶれ補正がなければ、広角や標準域でもレンズ内補正が効果を発揮することはあると思います。
ただ最近はボディに手ぶれ補正がついていることが多いので、広角レンズも手ぶれ補正がないものがほとんどです。
100mm超えるような望遠レンズには手ぶれ補正があって、ボディとレンズの「協調制御補正」を使えるものもあります。
ではLUMIXはどうかというと、こちらも「デュアルIS」というボディとレンズの協調補正がありますが、やはり望遠撮影での効果をうたっているものです。
Sシリーズのレンズを見ても広角や標準域では手ぶれ補正がついていなくて、望遠端100mmを超えると手ぶれ補正がついてくる感じです。
やはりデュアルISも望遠撮影向けの機能というのがわかります。
レンズ内補正自体がそもそも望遠撮影で影響が出やすい角度ブレに強いという性質であることを考えてもそうだろうと思います。
そして、撮影方法ですが、手ぶれ補正設定を変えて直進とカーブで撮影をします。
歩き方はラフで早歩きくらい、持ち方は左手に乗せて右手は添えるくらいで、かなり緩めの持ち方です。
モニターもあまり見ずに撮影するので、回転ブレ、移動ブレ、角度ブレ色々混ざった状態になると思います。
今回はかなり悪い条件で撮影するという前提で見ていただきたいと思います。
S9とZV-E1の手ぶれ補正比較
前置きが長くなりましたが検証していきます。
手ぶれの状態は文章で表すのが難しいので、できれば冒頭のYouTube動画をご覧ください。
直進
スタンダードvs通常
まずZV-E1のスタンダード補正で撮影。
手ぶれ補正があるとはいえ、スタンダードでは歩き撮影できないことがわかります。
続いてS9の通常設定で撮影します。
ZV-E1よりやや滑らかな印象がありますが、代わりに周辺部の歪みが出やすい印象です。
通常補正も歩き撮影ではあまり使いたくはありません。
アクティブvs電子(標準)
今度はZV-E1のアクティブモードです。
歩く衝撃が少し伝わる感じもしますが、先ほどと比べるとかなり滑らかになりました。
今度はS9の電子式補正(標準)です。
左右の揺れが気になりますが、基本的には滑らかです。
Dアクティブvs電子(強)
そして、ZV-E1のダイナミックアクティブです。
滑らかではありますが、アクティブモードとそんなに印象は変わらないかなという感じです。
そしてS9の電子式補正強です。
滑らかに撮れているんですが、やはり左右の揺れを少し感じます。
かなりラフな撮り方をしていることを考えるとどちらも十分良い性能だと思いますが、直進に関しては左右のフラつきがないZV-E1の方が良いなと思いました。
カーブ
直進の次は今度はカーブで撮影をします。
スタンダードと通常補正は省略して、やっていきます。
アクティブvs電子(標準)
まずZV-E1のアクティブモードです。
直進では滑らかに撮れていましたが、旋回が入ると一気に補正効果が落ちてしまいます。
これは過去の検証でもお伝えしてきているアクティブモードの弱点です。
続いてS9の電子式機補正標準です。
動きに緩急が出てしまうところはありますが、明らかにZV-E1より滑らかに撮れているのがわかります。
Dアクティブvs電子(強)
そしてZV-E1のダイナミックアクティブです。
アクティブモードと比べて回転ブレをかなり抑えられて印象が良くなりましたが、カクついた印象ではあります。
最後にS9の電子式補正強です。
これは明らかに一番滑らかな映像になっていると思います。
結果をまとめると、ZV-E1は直進では左右のフラつきを抑えて印象は良かったですが、そこに旋回が入ってくると一気にガタつきが出て、ダイナミックアクティブで改善はしますが、まだ足りないという感じです。
そしてS9は直進では左右のフラつきが出てちょっと落ち着かない印象でしたが、カーブを曲がる時には非常に滑らかに撮れていました。
手ぶれ補正ブースト
実はS9には手ぶれ補正ブーストという機能があります。
これは手持ちでも三脚を使っているようにガチッと映像を固めてくれる機能です。
電子式補正と組み合わせられて、追加のクロップはありません。
歩き撮影向きの機能ではなさそうですが、左右のフラつきを抑えられないか使ってみました。
電子式補正強と組み合わせると、直進では左右のふらつきをなくしてくれました。
ただ、ブーストの状態でカーブを曲がると、補正が強すぎて滑らかな映像にはならなくなります。
ブーストのON OFF切り替えの手間はありますが、この選択肢はかなり良いと思います。
S9の手ぶれ補正 まとめ
全体の評価としては、直進だけで旋回なしで撮るということはあまりないので、S9の手ぶれ補正の方が一般的に使いやすいと思います。
僕自身はSONYのアクティブモードの特性にかなり慣れていてこっちの方が使いやすいです。
ただカメラを初めて使って、気軽に撮れるのはやっぱりS9の方です。
撮影や機材選びの参考にしてみてください。
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