今回はSONY ZV-E1とα7SIIIのAF性能を比較します。
ZV-E1とα7SIIIはどちらもコントラストAFと像面位相差AFを併用した『ハイブリッドAF』を採用していて、測距点の数も同じ数(759点)です。
ただZV-E1にはAIAFがあってα7SIIIにはないので、AF性能にどんな違いがあるか気になる方も多いと思います。
なので今回は、この2機種のAF性能を比べてみます。
先に結論をお伝えすると、AF性能はZV-E1が完全に有利です。
思った以上に大きな差が出たので、AIAFはカメラ選びで相当重要なポイントになることがわかりました。
違いをぜひ理解しておいてください。
ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので見やすい方でご覧ください。
AF性能の比較方法
ではまずAF性能の比較方法からお伝えしていきます。
人物を検出するか
三脚にカメラを据えて、ZV-E1とα7SIIIが歩く被写体を検出するか確認します。
最初のAF位置を同じにする必要があるので、手前に物を置いて、そこにピントが合った状態から始めます。
「トラッキング」させるとピントが移ってくれないので、自然にピントが合うように中心寄りに置いておきます。
被写体認識を「人物」に設定しておけば、人物を認識した時点で優先順位が移ってピントを合わせてくれます。
F値・SS・ISO感度・WBなどの基本的な設定は全て同じ設定にします。
AFの設定でとても重要な「AFトランジション速度」と、「AF乗り移り感度」も合わせます。
AFトランジション速度
AFトランジション速度は、その名の通りAFが移る速さのことです。
例えば瞬時に被写体を切り替えるなら大きい数値に設定します。
奥の被写体から手前にゆっくりピントが移るような画を撮りたい場合は、数値を小さくすれば良いという物です。
今回は認識次第すぐに切り替わってくれれば良いので、最大の7に設定します。
AF乗り移り感度
AF乗り移り感度は被写体切替のしやすさを決める物です。
数字を小さくすると1つの物を粘り強く追ってくれますし、大きくすれば被写体の切り替えが起こりやすくなります。
今回は被写体を検出したらすぐにAFを移して欲しいので、最大の5に設定します。
フォーカスエリア
もう1つ大事な項目でAFが働く範囲を決めるフォーカスエリアがあります。
一番広い「ワイド」から中間どころの「ゾーン」、かなり狭い「スポット」などがありますが、今回はワイドにします。
ZV-E1とα7SIIIのAF性能
ではZV-E1とα7SIIIのAF性能を確認していきます。
横切る被写体
遠距離
まずZV-E1の遠距離で被写体を検出するか確認します。
さすがに遠いので、障害物が被らない少しの間だけAFが合ってくれました。
続いてα7SIIIですが、この距離だと全く検出してくれないようです。
中距離
今度は先ほどより少し近づいた、中距離でZV-E1の映像です。
障害物が被ると厳しめですが、かなり長い間AFを合わせてくれました。
続いてα7SIIIですが、ここでもAFを合わせられません。
近距離
最後に、さらに近づいた距離のZV-E1です。
やはり障害物が被っている時以外は、瞬時に人物を認識してAFを合わせてくれます。
そしてα7SIIIですが、最後までピントが合うことはありませんでした。
AIAFは人の骨格情報から姿勢を推定して被写体にAFを合わせるので、ZV-E1は体が横を向いていてもAFを合わせることができます。
言い方を変えると、横を向いていたのでα7SIIIはAFを合わせづらかった?かもしれないので、今度は正面を向けばAFが合うのかを確認してみます。
AIAFのZV-E1は横向きでも被写体を認識する
正面を向く被写体
遠距離(正面)
まずはZV-E1の遠距離です。
遠距離でもしっかりAFを合わせてくれて、障害物と被ってないので、合わせ続けてくれている状態です。
続いてα7SIIIですが、正面を向いてもAFを合わせてくれません。
中距離(正面)
今度は中距離でZV-E1ですが、やはりバッチリです。
そしてα7SIIIですが中距離でもダメのようです。
近距離(正面)
最後に近距離ですが、ZV-E1はバッチリ。
α7SIIIはようやく合わせてくれました。
どうやら、AIAFがないとある程度顔を認識させないとAFが合わないようです。
AIAFのZV-E1は顔を認識しづらい遠距離でも被写体を検出する
自撮り
自撮り
続いて、自撮りでAFが合い続けてくれるか確認してみました。
まずZV-E1ですが、カメラを大きく動かしてもしっかりAFが合い続けてくれます。
そしてα7SIIIですが、やはり近距離で正面を向いているのでしっかりAFは合うようです。
顔を認識しやすい環境ならα7SIIIも被写体を検出する
自撮り(マスク)
今度は顔を認識しづらいようにマスクをつけて撮影してみます。
ZV-E1はマスクをつけても四角形の枠が表示されて、顔と瞳を認識していることがわかりました。
α7SIIIはピントも外れることはありませんでした。
ただAFの枠は表示されなかったので、人物や顔を認識している状態ではありません。
ちょっと心配な感じです。
顔の一部が隠れているとα7SIIIは顔認識せず、ZV-E1なら認識する
人物の検証は以上なので簡単にまとめておきます。
AIAFがあるZV-E1では遠距離でも被写体を検出してAFを合わせてくれました。
AIAFのないα7SIIIだと顔が判別できる状態で、ある程度近い距離でないと被写体認識しないという感じです。
鳥や動物のAF性能
続いて人物以外についても、簡単にですが確認していきます。
被写体検出
まず前提ですが、ZV-E1は次の被写体検出に対応しています。
- 人
- 動物
- 鳥
- 車・列車
- 昆虫
- 飛行機
そして、α7SIIIが対応しているのは人と動物のみで動物に関しては静止画でしか使うことはできません。
これはFX3も同じ仕様です。
なので前提としてZV-E1の方が有利ですが、どのくらい違いが出るか見たいと思います。
人以外に関しては同じ条件で検証するのが難しいので、手持ちで撮った映像を単純にお見せする形になります。
ちなみにZV-E1には「協調制御手ぶれ補正」があるので、アクティブモードに設定するともっと安定した映像を撮れます。
ただ今回は、条件を合わせるためにスタンダードで撮影します。
鳥
まず木の枝にとまっているカワセミを撮ってみました。
ZV-E1は後ろ向きでもしっかりAFを合わせてくれます。
画面上では四角い枠が表示されて、鳥を認識しているのがわかります。
α7SIIIは一瞬ピントがあったようにも感じましたが、鳥を認識しているわけではないので、簡単にAFが移ってしまいます。
横を向いたり正面を向いてもピントは合いません。
手前の枝にピントがあって動いてくれないので、MFで撮ったほうが良さそうな感じです。
ZV-E1は被写体検出してAFを合わせ続ける。α7SIIIはすぐにピントが外れる。
動物
今度は動物を撮ってみます。
ZV-E1はやはり四角い枠が表示されて、動物を認識してくれます。
顔がしっかり見える状態なら瞳を認識してAFが合います。
検出対象を「動物」にしていれば、人と動物が一緒にいても動物に枠が表示されて追従してくれます。
α7SIIIは、ZV-E1なら簡単にAFが合う状態でも厳しいです。
そもそも動物が検出対象ではないので、優先的にピントを合わせたり追従してくれるということはありません。
コントラストがハッキリして障害物もない状況なら撮影できると思いますが、検出も追従も精度は高くないです。
ZV-E1は検出対象になっている被写体をしっかり選んで追従してくれる
ZV-E1とα7SIIIのAF性能 まとめ
AF性能の検証結果をまとめます。
まず、撮りたい被写体が検出対象になっているかはとても重要で、検出対象が多いZV-E1は有利です。
そして両機種で検出対象になっている「人物」においても、AIAFがあるZV-E1は人の骨格や姿勢から被写体を検出してくれます。
AIAFのおかげで次のような状態でも被写体認識しやすいです。
- 距離が離れている
- 体が正面を向いていない
- 顔が隠れている
もちろん、α7SIIIのAFが使い物にならないわけではないですし、AF乗り移り感度やフォーカスエリア、トラッキングを活用してAFを合わせやすくしたりもできます。
そもそもAFには頼れない現場で被写界深度を深めにしてMFで撮らないといけないこともあると思います。
ただ、AF性能でZV-E1とα7SIIIどっちが優れているかと言われたら完全にZV-E1です。
これは初心者が比べても違いがわかるレベルの「大きな差」です。
これからのカメラ選びではAIAFが搭載されているかどうかがかなり重要なポイントになってきそうです。
購入はSONYストアがオススメ
ちなみにZV-E1を購入するならSONYストアが一番おすすめです。
アカウントを作って購入するだけで次のメリットがあります。
- 10%OFFクーポン(初回も使える)
- メーカー3年保証が無料
- 定期的にクーポン配布
SONYストアの価格はパッ見だと高く感じるんですが、そこから10%OFFですし1年の無料保証が3年になるので、実はかなり安いです。
さらに「αあんしんプログラム」に入ると15%OFFクーポンやレンズの長期保証クーポンがもらえますが、こちらは月額550円かかりますので、必要に応じて考えればOKです。
カメラ選びの参考にしてみてください。
ZV-E1の性能検証をまとめたレビューもあるのでよければご覧ください。
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