今回はSONY ZV-E1とα7SIIIの歪みを比較します。
素早い被写体を撮ったり、カメラを素早く振った時に出るのが「ローリングシャッター歪み」です。
ローリングシャッター歪みは映像の印象を損ねてしまうので、どれだけ抑えられるかがカメラ選びの重要なポイント。
もちろん「風景撮影」や「カメラ固定」で撮ったりする分には歪みにくいのでそこまでシビアにならなくて良いです。
ただ、映像に色んな動きを入れるなら歪みは抑えた方が良いです。
今までにZV-E1とZV-E10、FX30、α7IVの歪みをテストしていて、写真についてはメカシャッターがあるZV-E10とα7IVが有利だとわかっています。
そして動画についてはZV-E1は非常に優秀ということがわかっています。
なので今回は同じく歪み耐性が高いと言われるα7SIIIとの比較をしてみたいと思います。
後半では歪みが少ないカメラの選び方も紹介するので、参考にしていただければと思います。
ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので見やすい方でご覧ください。
ZV-E1とα7SIIIの歪み比較
それではZV-E1とα7SIIIの歪みを比較します。
方法はいつも通り、走行する車を横から撮影してタイヤの形状の歪みを確認します。
まず映像をそのまま確認して印象を見ます。続いて映像をキャプチャ画像にしてじっくり見ていきます。
映像で歪みを感じるか?
ではまず動画の印象からお伝えしていきます。YouTubeでは実際の映像も確認できます。
まずZV-E1ですが、動画では歪みが認識できないので、歪み耐性はやはり優秀というのがわかります。
続いてα7SIIIですが、やはり歪みは目立たないので、どちらも動画において歪みを感じることはなさそうです。
ちなみにZV-E10やα7IVでは動画でも歪みがわかる状況でした。
ZV-E1もα7SIIIも歪み耐性は優秀で動画で歪みを感じることはほぼない
映像を止めると歪みはわかる?
続いて、歪みを目立たせるために映像をキャプチャして見ていきます。
まずはZV-E1のキャプチャ画像です。
一番奥の車線の車を見ると、もう全く歪んでないと言って良いレベルです。
ただ手前の車線になると、相対的に画面を横切る速さは上がるので歪みが出やすくなります。
なので完全に歪まないのではなく、あくまで歪みを抑制している状態というのがわかります。
続いてα7SIIIのキャプチャ画像です。
やはり奥の車線だと歪みは全然出ません。
そして手前の車線を見てみると、やはり歪みます。
歪み具合はどうやらZV-E1と同じくらいのようです。
車の速さも若干違うわけなので、複数台で確認しましたが、ばらつきも似たようなものでした。
動画の歪み耐性はZV-E1とα7SIIIで全く同じと思って良さそうです。
あと静止画については、ZV-E1のこれまでの検証でやはりメカシャッターが有利という結果が出ています。
つまり静止画ではα7SIIIの方が歪みに強いということになります。
一応電子シャッターの比較もしましたが、やはりZV-E1とα7SIIIで違いは見られませんでした。
今回みたいに走る車をピタッと止めるとか、鳥や昆虫の羽ばたきを撮ろうとなったらメカシャッターが必要になると思います。
ただ、そういった素早い被写体を撮らない限りこの2機種の電子シャッターなら歪まないと思って良いです。
静止画ではメカシャッターがあるα7SIIIが有利で、動画では両方同じ歪み耐性
では続いて歪みのないカメラの選び方についてお話します。
歪まないカメラの選び方
今回は実際に撮影をして歪みを確認しましたが、実は歪むカメラかどうかは、スペックを見ればある程度わかります。
高フレームレートを使えるか
見るべきスペックは「フレームレート」です。
使える動画のフレームレートが高いと、そのカメラは歪みが少ない可能性が高いです。
そもそもローリングシャッター歪みというのは「CMOSセンサー」が情報を読み出す速度が遅いことで発生します。
真っ直ぐ立った棒を素早く横に動かしてそれを撮ると斜めに記録されてしまう。これがローリングシャッター歪みです。
読み出し速度を速くすれば棒は垂直に近づいていきます。
そして読み出し速度が遅いということは読み出しできる回数も少なくなるということ。つまりフレームレートを高くすることができません。
なので、4K30Pまでしか撮れないカメラと4K120Pが撮れるカメラを比べたら4K120P撮れるカメラの方が読み出し速度が早い。つまり歪みに強い可能性が高いです。
高フレームレートで撮れるカメラは読み出しが比較的速い
クロップされないか
あともう1つ注目したいのは、高いフレームレートを使うときの「クロップ倍率」です。
例えばFX30とZV-E1の4K60Pで比較をしたらZV-E1の方が歪みが少ないという結果が出たんですが、この2機種は4K120P撮れるというのは共通しています。
違うのはFX30は1.6倍クロップで、ZV-E1は1.1倍クロップということ。
つまりクロップ倍率が小さい方がセンサー自体の読み出し速度は速いということです。
クロップ倍率が大きいということは読み出す範囲を狭めて相対的な読み出し速度を早めないとフレームレートを確保できないということなんです。
なので、クロップがない4K60Pで比べた時にはZV-E1の方が歪みが少ないという結果が出ていますし、クロップがある4K120Pで同じ画角に調整して比べたら歪みに大して差は出ないと思います。
あとは読み出しの過程で複数の画素を1つに集約する「ピクセルビニング」という処理をすると読み出し速度が上がります。
なのでピクセルビニング処理されているFHDで撮れば歪みを抑えやすいです。
あとメーカーの都合で、読み出し速度はあるけどあえて高いフレームレートを使わせないこともあるかもしれないので、多角的に見ないといけないとは思います。
ただざっくりと「このカメラは4K30Pでクロップありだから歪みそう」とか「4K120P撮れるから歪みを抑えられそう」という想定はできると思います。
クロップするということは、範囲を狭めないと読み出しが間に合わないということ
ZV-E1とα7SIIIの歪み まとめ
今回の検証でZV-E1もα7SIIIもとても歪みに強いカメラということが分かりました。
検証結果から分かること
動画では全く同じ性能で、歪みに気づくことはほぼありません。
静止画ではメカシャッターがあるα7SIIIが有利ですが、ZV-E1だと簡単に歪むというわけでもありません。
また、後半では歪まないカメラの選び方を紹介しました。
フレームレートが高くてクロップされないカメラなら歪みに強い可能性が高いです。
ただこの2つだけが要因というわけではないので、多角的に判断する必要はありそうです。
新しいカメラはレビューも少なくて歪み具合がわからなかったりしますし、検討している2機種でどっちが歪みに強いか気になるようなことも多いと思います。
そういう時に役立つ見方なので、カメラ選びで活用いただければと思います。
購入はSONYストアがオススメ
ちなみにZV-E1を購入するならSONYストアが一番おすすめです。
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