今回はSONY ZV-E1のレンズの選び方についてお話していきます。
SONYのフルサイズ用レンズは選択肢が多いのが良いところです。
ただ逆に多すぎて迷いますし、値段が高いので慎重に選びたいところでもありますよね。
今回はZV-E1やSONYカメラの仕様も意識しつつ、ZV-E1用のレンズの『選び方』と『おすすめレンズ5本』を紹介したいと思います。
ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので、見やすい方でご覧ください。
ZV-E1用レンズの選び方
まずはレンズの選び方を解説します。
レンズの選び方として、特に重要な5項目についてお話します。
- 焦点距離
- 明るさ
- 最大撮影倍率
- 重さ
- レンズキットはどう?
ZV-E1はVLOGカムなのでアクティブモード運用を前提にしている方も多いと思うので、まずはその仕様からお話したいと思います。
アクティブモードの仕様
アクティブモードは動画用の手ブレ補正機能で、手持ちで歩き撮影が楽しめるとても良い機能です。
ただ注意したい仕様が1つあります。
それはサードパーティレンズを使うと補正効果が著しく下がるということです。
これはZV-E1だけでなく「α7IV」や「FX30」など他のカメラでも同じなんですが、SIGMAやTAMRONなどの他社のレンズを使うと補正が弱くなるんです。
少しくらいなら「我慢しよう」とか「丁寧に撮ろう」となるんですが、補正効果が全然違います。
僕も以前はサードパーティレンズを使っていましたし、写り自体は純正よりむしろ良いと思うことすらありました。
でもこのアクティブモードの仕様があるので純正に買い変えたくらいです。
手元にサードパーティレンズがないのでZV-E1自体では試せていませんが、この仕様が変わっている可能性はほぼないと思います。
この仕様は頭に入れてレンズ選びするのをオススメします。
ただ、三脚やジンバルを使って撮影するのが基本だったり歩き撮りしないという方は、サードパーティレンズでも問題ないので、用途に応じて考えれば良いとも思います。
焦点距離
続いて焦点距離についてお話します。
レンズを選ぶときにまず考えるのは、映る範囲である「画角」です。
そしてこの画角を決めるのが焦点距離です。
焦点距離の目安としては
- 35mm以下:広角
- 35〜85mm:標準
- 85mm以上:望遠
という考え方が一般的だと思います。
そして歩き撮影などで使うなら広角を重点的に考える必要があります。
同じ広角と言っても、例えば16mmと35mmでは映る範囲が全然違います。
「とりあえず広角なら自撮りできるだろう」と思って30mmくらいで撮ったら「顔しか映らなかった」ということにもなりかねません。
もちろん腕を思いっきり伸ばせば背景も映せますが、腕の負担を考えると、脇を閉めた状態で広く撮れる方が良いです。
ということで広角の中での目安をお伝えしておきます。
景色を広く映して映像に躍動感も出したい。自撮りも楽にしたい → 20mmまで
景色や自撮りをそれなりの広さで → 25mmまで
躍動感はないけど景色を撮れて、自撮りは顔が映れば良い → 30mmまで
35mmくらいになると、広く映すというより被写体に注目した画角に近づいてきます。ポートレート動画などに使う人も多いと思います。
そしてZV-E1では機能ごとにクロップが加わって画角が狭くなるので、より広めのレンズを使う必要があります。
例えばダイナミックアクティブのクロップ倍率は1.43倍なので、16mmのレンズなら23mmで広めに撮れます。
20mmにダイナミックアクティブだと29mmなので、少し狭めという感じです。
通常のアクティブモードはクロップ倍率1.12倍なので、これなら22mmくらいで済んだりします。
ブリージング補正を使う場合はさらに1.05〜1.1倍くらいのクロップで考えておくと良いです。
ジンバル撮影ではアクティブモードも要らないので、ブリージング補正だけ考えれば良いと思います。
そして35〜85mmの標準画角は広角よりも被写体に注目した画角になりやすいです。
自分の見たままを切り取るようなスナップ感覚で動画を撮ったりすると良くて、50mmを超えるとより被写体に注目した印象になります。
ただ撮影者が動きながら被写体を画角に収めるのは難しくなってくると思います。
画角に収められたとしても望遠寄りになるほどブレが目立ちやすくなるので、ジンバルを使って撮影することになるだろうと思います。
そして85mmを超えた望遠画角は撮影者が足を動かすことは基本的になくて、カメラの向きで被写体を追うような使い方になります。
望遠と言ってもやはり焦点距離による差は大きくて、100mm前後であれば花や物撮りに使ったりしますが、遠くの動物や野鳥を撮ろうと思ったら400mm以上必要になったりもします。
とりあえず、VLOGを撮ったりYouTubeを撮る分には広角に重点をおいて、必要に応じて標準や望遠をプラスすれば良いと思います。
明るさ
続いてレンズの明るさについてです。
暗い場所で撮影したり、ボケを活かした表現がしたい場合は明るいレンズが必要になります。
明るいレンズというのは、具体的には開放F値が小さいレンズなので、開放F値の目安をお伝えしておきます。
- 〜F1.8:かなり明るい
- F2.0〜F2.5:明るめ
- F2.8〜F3.5:暗め
- F4.0〜:かなり暗い
明るさの目安はこんな感じですが、ZV-E1は暗い場所にも強いので、設定さえしっかりしていればF4レンズでも夜景が撮れます。
もちろん街灯もないような環境だと明るいレンズが必要ですが、市街地での夜景撮影ならF4レンズで撮れます。
あとはボケが必要かという話ですが、F2.8でも自撮りなどでは背景ボケしますし、F4でもある程度はボケます。
「より被写体を強調したい」という場合や作品の中に「玉ボケを使いたい」というような場合は、F2未満のレンズも使ってみると良いです。
最大撮影倍率
続いては最大撮影倍率についてです。
焦点距離とF値を考えるのはレンズ選びで当たり前ですが、物撮りなどをする場合は最大撮影倍率も考えた方が良いです。
最大撮影倍率は被写体をどれだけ大きく映せるかの目安になります。
少し分かりにくいかもしれませんが、例えば1倍だと1cmのものをセンサー上に1cmで映せるということです。
0.5倍ならセンサー上に0.5cmで映ります。
もちろん被写体に近寄ればもっと大きく映せますが、ピントが合わないので実質撮れないということになります。
最大撮影倍率の目安はなかなか難しいですが、小さいものを大きく映せる「等倍マクロレンズ」は1倍で「ハーフマクロレンズ」は0.5倍です。
このあたりなら肉眼では見づらい繊細な部分まで映せますが、標準から望遠画角のレンズが多いです。
広角レンズで物撮りもしたいなら0.25倍前後を目安にすると良いと思います。0.2倍を下回ると心もとない印象です。
0.25倍前後あれば料理や小物、花などの撮影もしやすいです。
重さ
続いて重さについてです。
ZV-E1の483gという重さはフルサイズ用としては超軽量です。
ただレンズはあくまでフルサイズ用なので選び方次第では重い運用になります。
あとジンバルに載せて撮影するような場合は、ジンバルの最大積載量(ペイロード)も考える必要があるので、重さはとても大事です。
重さの目安は人や用途によって大きく違うので、あくまでご自身で想定する必要があるとは思います。
僕個人的にはグリップとカメラとレンズ合わせて1.1~1.2kgくらいなら片手で自撮りもできるかなという感じです。
ZV-E1は483gでシューティンググリップは219gなので、この想定だとレンズは400~500gくらいまでということになります。
もちろん、もっと軽いに越したことはないです。
両手持ちならジンバルも使って2kgを超えても大丈夫ですが、そこまで考えてる方は多くはないかなとも思います。
レンズキット(SEL2860)
最後にキットレンズである「SEL2860」についてもお話します。
世の中には「キットレンズ反対派」みたいな人たちがいますが、僕は基本的にキットレンズは好きです。
ZV-E10とSELP1650の組み合わせは、軽いし汎用性も高いのでよくVLOGなどに使います。
ただZV-E1のキットレンズについてはちょっと運用が難しいと思っています。
理由は2つあって、まず広角端28mmが狭すぎるということです。
先ほどもお伝えした通り、28mmの画角は風景撮りには一応使えますが躍動感が少ないですし、自撮りには狭めの画角です。
これにアクティブモードなどを加えると30mmを超えて標準領域に近づいてしまいます。
せめて24mmくらいなら軽量ジンバルで運用できるんですが、VLOGCAMで28mmは中途半端だと思います。
理由の2つ目は電動ズームじゃないことです。
ZV-E1にはズームレバーがついているので、これを使って簡単にズームができるのもメリットの1つなんですが、SEL2860は対応していません。
ZV-E10用のSELP1650は換算24mmからで電動ズームもあってかなり使いやすいレンズなので「同じようなフルサイズ用レンズがあったら良かったのに」と思ってしまいます。
SEL2860は設計も新しくて軽いというメリットもありますし、用途次第では28mmでも大丈夫な場合もあると思います。
ただVLOGCAMのキットレンズとしては相性が悪いと思ってしまいます。
ZV-E1用おすすめレンズ5本
それではZV-E1用おすすめレンズを5つ紹介していきます。
僕が使っているレンズに加えて、持ってないけどこれは相性が良さそうと思うレンズも入っています。
SELP1635G
- 焦 点 距 離 :16-35mm
- 開 放 F 値 :F4.0
- 最大撮影倍率:0.23倍
- 重 さ:353g
- 値 段:16万
まず1つ目は広角ズームレンズの「SELP1635G」です。
このレンズの広い画角ならダイナミックアクティブモードを使っても換算23mmなので自撮りにも風景撮りにも使えます。
最大撮影倍率0.23倍は特別大きくはないですが、料理や花や小物を撮ったりするには十分かなとも思います。
このレンズはF4レンズなので、基本的には暗めですが、ZV-E1の暗所性能やデュアルベースISOを活かせば夜景撮影もできます。
電動ズームなのでレバーの操作だけで35mmまでズームできますし、全画素超解像ズームで50mmほどまでズームすることもできます。
重さは353gということでフルサイズ用ズームレンズとしてはかなり軽いので個人的にはZV-E1との相性は一番良いレンズだと思っています。
SEL2070G
- 焦 点 距 離 :20-70mm
- 開 放 F 値 :F4.0
- 最大撮影倍率:0.39倍
- 重 さ:488g
- 値 段:16万
続いて「SEL2070G」です。
このレンズは僕は持っていないんですが、ZV-E1との相性はとても良いだろうと思います。
広角端20mmなのでダイナミックアクティブモードだと30mm近い画角にはなりますが、通常のアクティブモードなら23mmで広めに映せます。
光学ズームで70mmまでズームできますし、最大撮影倍率が0.39倍もあるので、物撮りなどにも使えるレンズです。
ただSELP1635Gと違って電動ズームではないので、ズームリングを回して画角を変える必要があります。
あとインナーズームではないので、ズームするとレンズが伸びるというのは頭に入れておいた方が良さそうです。
このレンズもF4なのでZV-E1の暗所性能をうまく活かして撮影すると良いと思います。
重さは488gで他と比べると重めですが、スペックから考えると軽量という感じです。
一本で広角から中望遠まで撮りたいという人に良さそうです。
SEL20F18G
- 焦 点 距 離 :20mm
- 開 放 F 値 :F1.8
- 最大撮影倍率:0.22倍
- 重 さ:373g
- 値 段:13万
続いて「SEL20F18G」です。
僕はこのレンズは持っていないですが、スペックが近い「SEL24F14GM」というレンズで作品撮りをしています。
このレンズは単焦点レンズではありますが、やや広めの20mmはアクティブモード運用にはちょうど良い画角。
そして何よりF1.8の明るさがあります。
照明の無い環境で明るく撮りたい時にはやはり明るいレンズが必要になりますし、ボケを活かした表現にも使えそうです。
重さは373gなのでSELP1635Gと同じくらいで、最大撮影倍率0.22倍も同じくらいです。
SEL24F28G
- 焦 点 距 離 :24mm
- 開 放 F 値 :F2.8
- 最大撮影倍率:0.19倍
- 重 さ:162g
- 値 段:9万
続いて「SEL24F28G」です。
24mmの単焦点レンズなので、アクティブモードの26mmは自撮りには若干狭い気がします。
最大撮影倍率も0.19倍なので物撮りに特に向いているわけでもありません。
このレンズの強みは圧倒的な軽さなんですが、今までのレンズが350から500gくらいだったのに対して、162gしかありません。
長時間でないなら腕を伸ばして撮れる軽さなので、26mmでも割と自撮りができます。
開放F2.8なので背景も結構ボケます。
この軽さを活かして軽量ジンバルに乗せられるのも大きな強みだと思っています。
軽量ジンバルの「CRANE M2S」に載せてもカメラ・レンズ・ジンバル合わせて合計1.2kgくらいなので片手で自撮りができます。
ジンバル運用はスタンダード補正で良いのでクロップもありません。
もちろんジンバルを使うことに抵抗がある方もいると思いますが、軽量ジンバルは2~4万ほどで購入できたりします。
カメラ単体では無理なレベルまでブレを抑えてくれるのでジンバル撮影に挑戦してみるのもアリなのかなと思います。
SEL90M28G
- 焦 点 距 離 :90mm
- 開 放 F 値 :F2.8
- 最大撮影倍率:1.0倍
- 重 さ:602g
- 値 段:13万
最後に「SEL90M28G」です。
このレンズは中望遠マクロレンズなので、今までの流れとは全然違います。
歩き撮りなどに使うものではなく、物撮りや少し遠めの被写体を撮る時に使います。
VLOG用というよりは「作品も撮ってみたい」という方が広角レンズとセットで使うと良いレンズです。
多くのクリエイターさんが言ってることではありますが、2本のレンズがあれば大体のものが撮れることが多くて、僕の場合はSEL90M28GとSEL24F14GMがあれば困ることがないです。
もっと広い画角を使いたければSELP1635Gが入ることもあるんですが、このSEL90M28Gはほぼ必ず持っていくレンズです。
これがあれば花の近景も撮れるし、圧縮効果のある整った風景も撮れるのでとても重宝しています。
ボケの強さというのは焦点距離によっても変わるので、強めのボケを活かした表現をするなら標準から中望遠くらいの明るめのレンズを使うと選択肢の幅が広がると思います。
ただ、マクロレンズは基本的にAF性能があまり良くないので、マクロは撮らないという方は85mmくらいのポートレート用レンズを選んでも良いように思います。
重さは602gありますが、歩き撮りするようなレンズでもないのでこんなものかなという感じです。
今回はZV-E1用のレンズの選び方とオススメレンズ5つを紹介していきました。
VLOGCAMなので広角を重点的にお話しましたが、当然用途次第で選び方やオススメできそうなレンズも変わってきます。
レンズ沼にハマらないようにじっくり考えてレンズ選びしていただければと思います。
ちなみにZV-E1に関する情報をまとめた1ヶ月まとめレビュー記事もあるのでよければご覧ください。
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