今回はSONY ZV-E1の写真性能について解説します。
ZV-E1はVLOGCAMなので「写真を撮れるか心配で買うか迷う」という方は多いと思います。
実際に撮影した感想としては「十分良い写真が撮れるな」という感じです。
むしろZV-E1の強みを活かした撮影方法も使えたりします。
ただ、写真用としては使いづらい部分もありますし、それを許容できるかは人によりそうです。
なので今回は、ZV-E1を写真用として使う「メリット」と「デメリット」をお伝えするので、撮影やカメラ選びの参考にしてもらえればと思います。
ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので見やすい方でご覧ください。
ZV-E1で写真を撮るメリット
まずはメリットからお伝えしていきます。
メリットは次の5つです。
- 暗所性能
- AF性能
- 歪みのなさ
- 協調制御手ぶれ補正
- 連写速度
暗所性能
ZV-E1には拡張ISO409,600の暗所性能があるので、動画でも静止画でも大きな強みになります。
今回手持ちで夜景撮影したんですが、使ったのはF4レンズの「SELP1635G」です。
手持ち夜景となると、今までは開放F1.4のレンズを使ってきたので結構衝撃的です。
広角端16mmで撮影して設定はF4、SS1/15秒、ISO1600です。
「1/15秒は長すぎでは?」と思うかもしれませんが、手持ちでブレないSSの目安は焦点距離分の1秒あたりとされているので、16mmだとちょうど1/15秒ほどになります。
さらにボディ内手ぶれ補正も加わるわけなので、全然ブレる気配がありませんでした。
ISO感度1600は以前やった『デュアルベースISO』の検証結果をもとに設定しています。
やはりノイズはほとんど目立ちません。
デュアルベースISOはZV-E1の暗所性能を活かす上で、間違いなく知っておいた方が良い機能です。
ぜひ理解しておいてください。
この写真はSS30秒で撮影して車のライトを軌跡にしたものです。
さすがに三脚が必要ですが、ZV-E1もSELP1635Gも軽いので、トラベル三脚で十分でした。
もっと暗い場所だったり狭い画角で手持ちで撮ろうとすると、明るいレンズが必要にはなります。
ただZV-E1なら暗所撮影のハードルが下がるというのは間違いないです。
AF性能
メリット2つ目はAF性能です。
ZV-E1の優れたAF性能なら色んな被写体を捉えられます。
人、動物、鳥に加えて「昆虫」や「乗り物」なども被写体認識に追加されています。
今回エゾリスの写真と動画を撮りましたが、草や枝葉のような障害物が多くてもすんなり被写体を見つけてくれました。
今まで十分だと思っていた「α7IV」や「FX30」のAFよりさらに上だなと感じます。
あと個人的に嬉しいのは動物と鳥がセットで選べることで、野鳥と動物でいちいち設定を切り替える必要がありません。
設定を変えて飛行機も撮影しました。
下の画像は焦点距離800mmで撮った動画を参考に切り出したものになります。
手前には背の高い草があって飛行機周りも陽炎っぽくなってるのに被写体認識してくれたのは驚きです。
動物や乗り物を撮る時にはブレを抑えるためにSSを短くする必要があるんですが、ここでもZV-E1の高感度耐性が活きます。
出来るだけ小さいF値で撮るというのももちろん必要ですが、ISO感度を上げてもノイズが目立たないので、ISO感度でSSを稼ぐことができます。
ブレもなくてノイズも目立たない写真が撮れるというわけです。
当然ポートレートやペットを撮るのにも良いと思います。
今回は試せませんでしたが、昆虫や車などの被写体認識もまたどこかで試せればと思います。
ちなみにエゾリスも飛行機も「SEL100400GM」というレンズで撮影しています。
SEL100400GMに「SEL20TC」という2倍テレコンバーターをつけることで200-800mmの画角で撮ることも可能です。
歪みのなさ
続いてメリット3つ目の歪みのなさについてです。
素早い被写体を撮る時に注意したいのが「ローリングシャッター歪み」なんですが、ZV-E1では歪みがほとんど出ません。
ローリングシャッター歪みは、CMOSセンサーの情報を上から順番に読み込むことが原因です。
これを防ぐには「メカシャッター」や「グローバルシャッター」を使うか、電子シャッターの読み出し速度を早めるかという対策が必要です。
グローバルシャッターを搭載しているカメラは現状ほとんどなくて、大体メカシャッターで対応しています。
写真では歪まないけど動画では歪むというカメラが多いのは、動画ではメカシャッターが使えないからなんです。
ZV-E1はメカシャッターも無いのでいよいよ歪む心配が大きくなります。
しかしZV-E1は読み出し速度が速いおかげで電子シャッターでもかなり歪みにくいです。
相当素早い被写体を撮らない限り歪まないと思って良いので安心して撮影できます。
協調制御手ぶれ補正
続いて協調制御手ぶれ補正です。
これは前回紹介したばかりなので概要だけお話しするんですが、対応レンズであればボディと協調して手ブレを抑えてくれます。
この手ぶれ補正機能と高感度耐性を活かしたシャッタースピード、AIAFもあって、動体撮影がかなりしやすくなっています。
連写速度
さらに連写速度については1秒10枚で撮ることができます。
α7IVなどは「非圧縮RAW」や「ロスレス圧縮RAW」だと連写枚数が落ちますが、ZV-E1では速度低下もなく撮影することができました。
ヘルプガイドには連写速度が低下すると書いてありますが、間違いの可能性が高いです。
ZV-E1は画素数が少ない分、画像一枚のファイルサイズが小さいので連写を多用してもストレージを圧迫しないのも個人的には良いポイントです。
大まかにはこんな感じですが、当然フルサイズならではのボケを活かした写真も撮れます。
「SEL90M28G」というマクロレンズで背景をボカして撮影しました。
被写体のチューリップを強調できて良い仕上がりです。
同じく「SEL90M28G」で逆光撮影すると背景に玉ボケができてちょっと神秘的な感じです。
あと静止画向けプリセットのクリエイティブルックもあるので、ZV-E10やα6400などでは使えない色味が使えるのもメリットだと思います。
ZV-E1で写真を撮るデメリット
ここまでZV-E1を写真で使うメリットをお話したので、続いてデメリットをお話します。
お話するデメリットは次の4つです。
- 画素数
- ファインダーレス
- モニター性能
- 操作性
まずは一番気になるところではないかと思う、画素数について解説します。
画素数
ZV-E1は高い暗所性能を得るために1画素の面積を大きくしているので、その分画素数は少ないです。
一般的なミラーレスカメラが2000~3000万画素ほどある中、ZV-E1は1210万画素なので、画素数的に不利なのは明らかです。
動物や乗り物など動く被写体を撮る時は、ある程度のトリミングは想定して撮影するものです。
ただZV-E1ではトリミングに回せる余裕はあまりないと思った方が良さそうです。
他のカメラと比べると違いが際立ってデメリットが大きそうに感じるんですが、ここで考えておきたいのは
実際どのくらいの画素数が必要なのか?
ということです。
例えばSNSで使うくらいなら1200万あれば十分すぎます。
以前twitterで1万いいねをいただいた写真があるんですが、その写真は300万画素いかないくらいで書き出したものです。
やっぱり1200万で十分だなという感じです。
印刷してコンテストに出品するとして「A4サイズ」であれば十分足りますし、それより少し大きい「四切」もギリギリ大丈夫かなという感じ。
これより大きい「ワイド四切」や「A3」だとさすがに厳しいくなってきますが、そこまで求めるコンテストは多くないのではないしょうか。
ちなみに僕は動画を始める前から写真をやっていて、いくつかのコンテストで賞もいただいているので適当な情報ではないです。
そんな感じで、他のカメラの画素数と比べると劣るように見えますが、実用面で考えるとほぼ困らないという感じです。
ファインダーレス
続いてのデメリットはファインダーが無いことです。
個人的には写真用カメラとしてはここが痛い部分ではあります。
ファインダーがあることで、画面の反射を防げたり、周辺の情報をシャットアウトして没入感もあるので、やっぱり精度は上がります。
バリアングルモニターを上に向けて顔を下に向けるという撮り方になることが多いんですが、これだと目で被写体を確認して、カメラを向けるうちに被写体を見失うことが本当に多いです。
広角や標準なら問題ないですが、精度が必要な望遠撮影ではかなり違いが出ます。
ファインダーがないと良い写真は絶対撮れないということはもちろんありません。
ただ良い写真が撮れる確率は上がるので、やっぱりファインダーが欲しいと思ってしまいます。
ただ最近はスマホで写真を撮れることもあって、ファインダーなしの撮影に慣れてる方も多いと思います。
風景を撮ったり花を撮ったり、趣味の範疇でポートレートを撮ったりする分にはそこまでの精度は要らないと思います。
高いAF性能がサポートもしてくれるので、そこまで問題にならない可能性も高いです。
ここは求める精度に応じて考えれば良いかなと思います。
モニター性能
続いてモニター性能についてです。
ZV-E1にはファインダーがないのでモニターに頼ることになるんですが、性能が高いとは言えないものです。
モニターの大きさはSONYカメラだと大体3型(インチ)ですが、ドット数が違うので精細さが変わります。
ZV-E1のモニターは103万ドットで、同じファインダーレスのFX30は236万ドットもあります。
103万はα7IVと同じ数字なんですが、α7IVには高精細なファインダーがついているので話が違ってきます。
MFでピント合わせするときだったり、撮った写真をモニターでチェックしたときにFX30だと「やっぱり良いな」と感じます。
逆にZV-E1だと「こんなもんかな?」という感じになって帰って大きい画面で見ると綺麗に撮れてたことが分かります。
もちろんピンボケの確認などは拡大表示すればできるので問題ないです。
MFで撮るときは「ピーキング表示」や「ピント拡大」を使えば失敗することもないです。
個人的にはやっぱり撮った写真を確認した時の感動の違いが大きいのかもしれません。
操作性
デメリットの最後は操作性です。
ZV-E1のグリップはα7IVやFX30などと比べて掴みやすいとは言えない形状です。
α7IVなどは中指の上に引っかかりがあってズレにくかったり細かい部分に配慮された形状です。
それに対してZV-E1は平坦なカーブなのでグリップ感、ホールド感は良くはありません。
ただこれは軽量コンパクト化に寄与している部分とも捉えられますし「比べれば違う」という話で、案外気にならない可能性もあるとは思います。
人によって判断が大きく変わるところなので、まずは実際に触ってみることが一番大事かなと思います。
ZV-E1の写真性能まとめ
ZV-E1を静止画で使うメリットとデメリットをお話したので、内容を簡単にまとめておきます。
メリット・デメリットまとめ
特に大きなメリットとしては「暗所性能」や「AF性能」、あと電子シャッターでも「歪みにくい」というところだと思います。
この歪みにくさは動画撮影でも活きる部分ですね。
デメリットの画素数はA3印刷をしたり、強いトリミングをする場合は厳しめですが、他で困ることはほぼ無さそうです。
あとはファインダーやモニター、グリップなどの使い勝手の部分になりますが、これは人によって判断が変わるところなので、実際に触ってみるのが一番かなと思います。
僕個人的には、使い勝手の部分ではα7IVのような静止画向きのカメラが良いと思います。
ただZV-E1じゃないとできない使い方があったり、動画を撮りながらたまに写真も撮るような時には十分すぎる性能を発揮してくれています。
購入はSONYストアがオススメ
ちなみにZV-E1を購入するならSONYストアが一番おすすめです。
アカウントを作って購入するだけで次のメリットがあります。
- 10%OFFクーポン(初回も使える)
- メーカー3年保証が無料
- 定期的にクーポン配布
SONYストアの価格はパッ見だと高く感じるんですが、そこから10%OFFですし1年の無料保証が3年になるので、実はかなり安いです。
さらに「αあんしんプログラム」に入ると15%OFFクーポンやレンズの長期保証クーポンがもらえますが、こちらは月額550円かかりますので、必要に応じて考えればOKです。
撮影やカメラ選びの参考にしてみてください。
ZV-E1の情報をまとめた1ヶ月レビュー記事もあるのでよければ参考にしてみてください。
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