写真を上達させたいけど何をすれば良い?紫陽花の季節だけど、練習に使えないかな?
実は、紫陽花をマクロレンズで撮影すると、カメラやレンズへの理解が深まって写真がレベルアップします。
撮影を一気に上達させたいという方はぜひご覧ください。
また、今回は紫陽花をテーマにしていますが、それ以外でも、マクロ撮影全般で役立つ情報となっているのでお見逃しなく。
この記事を書いているのは、写真家兼ライターの「とも」です。
全国を旅しながら風景を撮影したり、旅好きの皆さんに役立つ情報を発信しています。
そんな筆者は毎年、どこかしら紫陽花の名所へ撮影に出かけています。
紫陽花のマクロ撮影はなかなか難しくてコツも必要ですが、逆に言うと、上手く撮影できれば写真への理解も深まっているということ。
そんな紫陽花の撮影を、写真のステップアップに活かして欲しいと思い、この記事を書きました。
ということで今回は「紫陽花をマクロレンズで撮影すると写真が一気に上達する理由。」というテーマで記事を書きます。
紫陽花をマクロレンズで撮影すると写真が上達する理由
紫陽花のマクロ撮影は、写真の上達にかなり有効です。
その理由は、紫陽花の撮影では『明るさの三要素』をフル活用するからです。
ちなみに、明るさの三要素とは下記のとおりです。
- F値(絞り)
- シャッタースピード
- ISO感度
この3つは「ブレ」や「ボケ」にも大きく影響してきますから、三要素を駆使しないと思ったとおりの撮影は出来ないと言っても良いでしょう。
例えば、鋭く結晶のように伸びる紫陽花の「ガク」にフォーカスしたい場面。
三要素を扱えないと、小さな揺れにも対応できず、ガクはブレブレ、、、
運よくブレなくても、ピントが合う範囲が狭くてガクがボケボケ、、、
なんてことにもなりかねません。
なので、この記事で三要素の予習をして、実践で定着させるのが上達への近道だと思います。
そして、これらを駆使することで、下記のような紫陽花の写真が撮影できます。
- 被写体が揺れてもブレにくい写真
- ボケを使った神秘的な写真
- ガクの輪郭を広くハッキリ写した写真
同じ花でも全く印象の違う写真になりますし、紫陽花の豊富な色や形もしっかり表現できるようになります。
実践の中で身につけたその表現力が、今後、色んな場面でも役立ってくるハズです。
ということでここからは、紫陽花のマクロ撮影で撮影が上達する手順を具体的に解説していきます。
ちなみに、撮影にあたっては「絞り優先モード」(絞りに応じてSSを調整してくれる撮影モード)を使うことをお勧めします。
F値を下げてシャッタースピードを上げる
青空の下で撮影する紫陽花も良いですが、雨や曇の中、しっとりした雰囲気の紫陽花は梅雨らしさが感じられて特に良いですよね。
そういうことで、梅雨空の下、紫陽花をマクロで撮ろうとするわけですが、何やら写真がブレてしまいます。
それは、明るさが足りず、シャッタースピード(SS)が長くなっているからです。
雨や曇だと光の量が減り、カメラはSSを長くして明るさを保とうとします。
仮にSSが1秒になっているとしたら、1秒間の自分や被写体の小さな揺れも写真に反映され、結果、ブレてしまいます。
これに対する解決策はF値を下げることです。
F値を下げることで、多くの光を取り込めるようになり、SSが短くて済みます。
SSの目標としては使っているレンズの「焦点距離分の1秒」を確保するようにしてください。
50mmのレンズなら50分の1秒で、場合によってはさらに短いSSが必要となります。
以上のとおり、SSを確保することでブレの無い写真が撮影できるようになるというわけです。
ピントを合わせる場所を決める
SSを確保してブレなくなったのは良いけど、ピント合わせが難しくなったような、、、
実は、F値を下げると明るくなるのと同時にボケが強くなります。
『ボケが強くなる=ピントが合う範囲が狭くなる』ので、しっかりピント合わせしないと、何を撮っているかも分からない写真になります。
(厳密には「ピントが合っているように見える範囲が狭くなる」ですが)
しかも、カメラと被写体の距離が近いほどボケは強くなるので、マクロ撮影でのピント合わせは尚更難しいのです。
しかし逆に、ピントを上手く合わせればボケとのメリハリが効いた、神秘的・幻想的な写真が撮影できます。
ということで、自分の撮りたい部位にしっかりピントを合わせてシャッターを切りましょう。
ピントを合わせるための具体的な方法は下記のとおりです。
- マニュアルフォーカス撮影
- ピント拡大
- 連写
それぞれ簡単に解説しておきます。
マニュアルフォーカス撮影
マクロ撮影では自分や被写体の小さな揺れがブレに繋がります。
オートフォーカスでは揺れる被写体を追いきれない場合があるので、『マニュアルフォーカス』で撮影しましょう。
ピントを一定の距離に合わせて待ち構え、そこに被写体が来た瞬間を狙ってシャッターを切ります。
揺れる被写体を追って右往左往する必要もなくなります。
ピント拡大
ピント合わせの際は『拡大機能』を使うようにしましょう。
拡大画面を見ながらフォーカスリングをじわっと回して、「ここだ!」という距離にピントを合わせます。
拡大せずに大体でピント合わせすると、後で写真を見た時にガッカリすることになりますので、、、
連写
マニュアルフォーカスとピント拡大を駆使しても、シャッターを切るタイミングはなかなか合うものではありません。
そんな場合は『連写機能』を使って撮影しましょう。
数枚撮影してピントをチェック。合っていなければまた数枚撮影してピントをチェック、、、
これを繰り返してバッチリピントが合ったものを選んで残しましょう。
ピント合わせの具体的な方法をお伝えしました。
ちなみに、「ピント合わせの方法はわかったけど、そもそもどこに合わせれば良いか分からない」という方は下記の部位に合わせてみると良いです。
- 花の中心(しべ等)
- ガクの先端
- ガクの葉脈
- 水滴
筆者は上記を中心にピント合わせしています。良ければ参考にしてください。
ISO感度を上げて輪郭を撮る
「ボケを少なくして花全体の輪郭が分かる写真も撮りたい、、、」
と思ったら次のステップ。ISO感度を上げることで紫陽花の輪郭まで撮影しましょう。
これまで、SSが長くならないようF値を下げてきましたが、代わりにISO感度を上げることでF値を下げずに撮影できるのです。
F値を上げるとピントが合う範囲が広くなるので、輪郭まで写せるようになるというわけです。
「だったら最初からISO感度上げれば良かったじゃん。」
と思われるかもしれませんが、ISO感度を上げると写真にノイズが出やすくなるので、上げないに越したことはないのです。
F値とSSを駆使しても足りないという状況になってから、ISO感度は上げるべきです。
ということで、ISO感度を上げての撮影を下記のように行います。
- 構図を決める
- F値を上げて輪郭を確認
- ISO感度を上げながらSSを確認
順に解説していきます。
構図を決める
まず先に、構図を決めてしまいます。
先ほども話しましたが、ボケの度合いはカメラと被写体の距離で変わります。先にF値を決めても、構図を決める際にボケ具合が変わり、またF値を決め直さなければならないのです。
つまり、「F値決める→構図決める→F値調整する」
よりも、「構図決める→F値決める」の方が手間が一つ省けるのです。
また、次のステップで輪郭を確認するために、大まかなピント合わせも済ませてしまいましょう。
F値を上げて輪郭を確認
次にF値を上げていきます。
F値を上げてると全体のボケがなくなっていくので、写したい範囲の輪郭が出たらそこでF値を止めます。
輪郭もそうですが、背景のボケ具合にも目を向けてみましょう。
背景に余計なものが写りそうだったらボカして目立たなくしたり、玉ボケの大きさを調整したりもできます。
全体の雰囲気・バランスを見ながらF値を決めましょう。
ISO感度を上げながらSSを確認
F値を上げたことで、SSが長くなっているハズです。
ということで、SSを短くするためにISO感度を上げていきます。
ISO感度は上げ過ぎるとノイズが出てザラザラした写真になってしまうので注意が必要。
筆者は2,000くらいを上限にしていますし、RAW現像でノイズ処理も行っています。
作例とその設定を1つ紹介しておきます。
この写真はF値11、SS1/160秒、ISO感度500で撮影しました。
小さな花が密集していると、ゴチャゴチャした写真になりがちですが、左下の狙った範囲にだけピントを合わせることで、整理され、メリハリがついたかなと思います。
ちなみに、筆者が使用しているマクロレンズのについての情報を載せた記事もあります。
性能紹介や作例もたくさんあるので、興味がある方はご覧ください。
【これを見ればOK!】SIGMA 70mm F2.8 MACRO まとめ
以上が、ISO感度を利用して紫陽花の輪郭まで写す方法です。
ここまでやれば「明るさの三要素」についての理解が深まり、撮影も上達しているハズです。
しかし、1回や2回の撮影ではなかなか身につかないので、ガンガン撮影に繰り出して、どんどんスキルアップしましょう。
紫陽花とマクロレンズ まとめ
今回は「紫陽花をマクロレンズで撮影すると写真が一気に上達する理由。」というテーマで記事を書きました。
その理由とはズバリ、『明るさの三要素』である「F値・SS・ISO感度」についての理解が深まるからです。
ステップアップの手順としては
- F値を下げ、SSを短くすることでブレない写真が撮れるようになる。
- MFや連写など、ピント合わせのテクニックが身に付く。
- F値とISO感度を使って、ピントが合う範囲を調節できるようになる。
といった感じです。
記事の冒頭にも話しましたが、紫陽花だけでなくマクロ撮影を中心に、色んな場面で応用が効く情報となっています。
ぜひ、これからの写真生活に活かしてほしいと思います。
また、構図や写真の基礎についてまとめた記事もあるので良ければご覧ください。
以上、この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。
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