今回はZV-E1の画質設定についてお話します。
動画をやっていればよく聞く単語から、本格的にやってないとわからない単語まで色々出てきます。
公式のヘルプガイドをみてもイマイチわからないことも多いんですが、SONYカメラをたっぷり使ってきた経験を活かして、分かりやすく解説していきます。
先に動画の設定をお話して、最後に写真についてお話します。
ちなみに動画の画質設定はMENUを開いて上から2番目の「メインメニュー」というところに大半がまとめてあるので、基本はここを見ると良いです。
今回の内容は動画にもしてあるので、見やすい方でご覧ください。
フレームレート
フレームレートは映像1秒に使われる画像の枚数で、数字が大きいほど滑らかな映像になります。
使う目安は次の通りです。
- 24P:シネマティック表現
- 30P:それなりに滑らか
- 60P:かなり滑らか
- 120P:スロー素材
- 240P:スロー素材
120Pや240Pは60Pより滑らかですが、ここまでいくと60Pと違いがわからないという人も多いです。
そのまま使うというよりは24Pや30Pに変換してスロー映像に使われることが多いです。
4K120Pは6月以降にアップデートで使えるようになります。
僕はVlogでは60Pを使うことが多くて、作品を撮る時は24Pが基本で、60Pを元にした2.5倍スローもよく使います。
120Pで人や動物を撮ってスローにすると、表情や仕草をより印象的に映すことができるのでぜひ試してほしいところです。
ちなみにシネマティックVlog設定だと24P固定になり、選択肢が減ってしまうので注意してください。僕はシネマティックVlog設定は基本使いません。
解像度とフォーマット
続いて解像度とフォーマットですが、まず「解像度」は映像に使われる画素数のことです。
4Kなら830万画素で、FHDなら210万画素なので4Kの方が解像感がある代わりにファイルサイズは大きくなります。
より高画質で撮りたいなら4Kで、ファイルサイズを抑えたいならFHDという使い分けで良いと思います。
そしてフォーマットですが、ZV-E1には次の3つのフォーマットが使えます。
- XAVC S
- XAVC HS
- XAVC SI
このとっつきにくそうな単語を見ると理解しようという気が薄れるわけなんですが、今からお伝えする特徴をおさえておけば段々慣れてくると思います。
とりあえず、XAVCという言葉に大した意味はないので無視してもらって、SとHSとSIの3つがあると思えばOKです。
XAVC S
XAVC SはほとんどのSONYカメラで使えるフォーマットで、色んな編集ソフトや試聴用アプリで使えて、ファイルサイズもそれなりに抑えた形式です。
他のフォーマットで再生できないようなことがあっても、このフォーマットなら再生できる可能性は高いです。
困った時はXAVC Sという感じです。
XAVC HS
XAVC HSは高い圧縮効率でデータを圧縮するので、ファイルサイズをより抑えられます。だからと言って画質が悪くなることもありません。
これは「H.265」コーデックというものが使われているからで、XAVC SやSIに使われている「H.264」コーデックと比べると半分のファイルサイズでも同等の画質になると言われています。
このXAVC HSはエントリーモデルや少し前のモデルでは使えないので、かなり大きな強みです。
ただデメリットとしては汎用性が高くなくて再生できないソフトもあるかもしれません。
動画編集では重くなってしまうというデメリットもあります。
なので、H.265コーデックが自分の試聴環境や編集環境に適しているかを確認してから使った方が良いです。
XAVC HSはファイルサイズを抑えるのと同時に熱も抑えやすいので、熱停止対策として選ぶのも良いです。
XAVC SI
3つ目のXAVC SIはエントリーモデルなどには搭載されていないフォーマットです。
ファイルサイズが一番大きいので使うハードルがちょっと高いかもしれません。
他のフォーマットと比べると3倍くらいのサイズと思って良いです。
XAVC SIにはH.264コーデックが使われていますが、「ALL-I(オールイントラ)」というちょっと違う圧縮方式が使われていて、そのおかげで編集がサクサクできたりもします。
僕はガッツリ編集する作品撮りでは「SI」を使いますが、ファイルサイズを抑えたいYouTubeの撮影やVlogなどでは「HS」という感じで使い分けています。
Sだと画質が悪いとかそういうわけでもないので、色んな編集環境・視聴環境に対応できるようにしたいという場合は「S」を使うと良いと思います。
ビットレートとクロマとbit深度
続いてビットレートとクロマサブサンプリングとbit深度です。
大まかな画質やファイルサイズはフォーマットや解像度で決まりますが、さらに細かい部分をこの3つで決めます。
言葉や数字がとっつきにくいですが、選び方さえ理解しておけば迷う必要はないです。
ビットレート
ビットレートは動画1秒あたりのデータ量で、数字が大きければ画質が良く、小さければ画質は悪くなると思って良いです。
1byte=8bitなので、動画のファイルサイズを予め計算することもできます。
例:100Mbpsで10秒動画を撮影→100×10÷8=125MBほど
フォーマットによって選べるビットレートが違ってきます。
XAVC SIのビットレートは1択ですが、XAVC SやHSは選択肢があるので迷うところでもあります。
僕はざっくり100Mbpsくらいで撮ることが多いです。
画質が気になることも特にないですし、ファイルサイズが大きすぎるということもないです。
案外50Mbpsくらいでも大丈夫ということもあると思うので、画質を見ながらたまに変えてみても良いかもしれません。
ちなみに使えるフォーマットやビットレートはSDカードによって変わるのでご注意を。
クロマサブサンプリングとbit深度
「クロマサブサンプリング」は色情報の圧縮具合で、ZV-E1で選べるのは「4:2:2」と「4:2:0」の2つです。
4:2:2の方が圧縮が少ないので画質的に有利です。
「bit深度」は色情報の細かさ緻密さで、ZV-E1で選べるのは8bitと10bitで、10bitの方が画質的に有利です。
このクロマサブサンプリングとbit深度の組み合わせは考えるほど頭が混乱しますが、よく考えると2×2の4パターンしかないです。
しかもZV-E1で選べるのは次の3パターンだけです。
- 4:2:2 10bit
- 4:2:0 10bit
- 4:2:0 8bit
一番色情報の多い4:2:2 10bitは編集で色調整(カラーグレーディング)する場合に選ぶと良いです。
色情報が豊富なので編集での劣化を抑えることができます。
逆に撮って出しなら8bitと10bitを比較しても大きな違いは出ないと思います。
もちろん撮って出し前提で4:2:2 10bitを使っても良いんですが、高めのビットレートしか選べないですし、4:2:2 10bitはソフトによっては視聴できない可能性もあったりします。
逆に4:2:0 10bitや4:2:0 8bitは色調整しない場合(撮って出し)に使えば良いということです。
そして4:2:0 10bitはXAVC HSでしか使えないですし、4:2:0 8bitはXAVC Sでしか使えないのでこの2つのどちらを使うかは、フォーマットを選んだ時点で決まってきます。
まとめると、編集で色調整する場合は4:2:2 10bitを選ぶと良くて、撮って出しなら4:2:0 10bitか8bitですが、汎用性を考えるなら4:2:0 8bitという感じです。
Log撮影
続いてLog撮影についてです。
Logは白とび黒つぶれを抑えて明るい部分から暗い部分まで撮れる、ダイナミックレンジが広い撮影方法です。
そしてLogは編集前提の撮影方法でもあります。
編集で色を調整しないと、彩度やコントラストの低い眠い映像になってしまうので注意してください。
Logの詳しい解説はこちらの記事に書いています。
僕はvlogでも作品撮りでもよく使いますし、慣れると通常の撮影方法よりむしろ楽なんですが、初心者の方はまず基本的な撮り方を覚えた方が良いのでオススメはしないです。
動画用のプリセットは「ピクチャープロファイル」というものなので、初心者の方はPP1とかPP11あたりで彩度を調整するくらいで良いと思います。
あと静止画用プリセットの「クリエイティブルック」もSTやPTは動画で使いやすいと思います。
FL、INは色味は魅力的ですが動画で使いやすい特性とは言えなくてパラメータ調整する必要があります。初心者の方は使わない方が良いと思います。
撮影モード
続いて撮影モードについてお話します。
撮影モードは写真や映像の明るさを決めるF値、SS、ISO感度をどうやって調整するかを決めるものです。
写真や動画を撮る上ではF値、SS、ISO感度は基本中の基本です。この3つの理解を飛ばしたら、それなりの映像は撮れても、それ以上になることはないです。
簡単にだけ概要を書いておきます。
- F値:小さくすれば明るくなってボケる
- SS:長くすれば明るくなってブレやすくなる
- ISO:大きくすれば明るくなって画質は落ちる
という感じです。
この3つについては解説してある記事や動画がたくさんあるので、じっくり理解しておくのをオススメします。
ということで撮影モードですが、ZV-E1には次の5つのモードが用意されています。
- おまかせモード
- プログラムオート
- Mモード
- Aモード
- Sモード
おまかせモード
おまかせモードはなんでもカメラ任せにするモードになります。
F値、SS(シャッタースピード)、ISO感度、ホワイトバランスなども自動調整なので楽ではあります。とにかく気軽に撮りたいという方はこのモードでも良いかもしれません。
ただ、使えなくなる機能があったり、思い通りの表現などは難しいです。これを使っている以上は写真や動画を理解することはないと思うので、個人的にはオススメしません。
プログラムオート
プログラムオートはF値とSSをカメラに任せて、他は自分で設定するというモードになります。
これも思った通りの表現ができるわけでは無いので、おまかせモードを使わないならこれも中途半端なので使わない方が良いと思います。
ということで、写真でも動画でも僕が使っているのは残りの3つだけです。
Mモード
Mモードは、F値・SS・ISO感度3つとも自分で調整しますが、ISO感度についてはオートにもできます。
気軽に撮るというところからは外れますが、作品などを撮ってみたい方はこれを使えるようになった方が良いです。
動画を本格的に撮る方はほとんどMモードで撮っているんじゃないでしょうか。
Aモード
AモードはF値を自分で決めてSSはオート、ISO感度はどちらでもOKのモードです。
F値はボケ具合を調整できるものなので、ボケ具合は指定したいけどSSはなんでも良いという時に使います。
ただSSも動画では基本フレームレートの2倍分の1秒前後にする方が多いと思うので、どちらかと言うと静止画向けのモードだとは思います。
ただ個人的には、VLOGを60Pで気軽に撮る時に使ったりします。
フレームレート2倍分の1秒というSSの目安は、24Pや30Pなどフレームレートが小さい映像でパラパラ感を目立たせないようにするための設定です。
60Pくらいになるとコマ数が多いので、この設定にしなくてもパラパラ感はほとんど出ないです。
SSの縛りがあると、NDフィルターをつけて明るさを落とさないといけないことが多くて手間が増えてしまいます。
なので気軽に撮るときはAモードで60P、NDフィルターはつけないという設定で撮っているというわけです。
Sモード
そしてSモードはSSを自分で決めてF値はオート、ISO感度はどちらでもOKです。
F値をオートにすると、撮影中にボケ具合が変わって映像の印象まで変化してしまうので、この設定にする人はあまり多くはないかもしれません。
個人的には3つのモードの中で一番使わないモードという感じです。
静止画の画質設定
ここまで動画の画質設定についてお話したので、続いて静止画の画質設定についてお話します。
静止画もメインメニューで大体のことを調整できます。
まず静止画のファイル形式は次の3つから選べます。
- RAW
- RAW+JPEG
- JPEG
RAWは現像ソフトで自分好みの調整をする場合に使います。
撮った写真をそのまま使うならJPEGを選べば良いですし、念の為RAWとJPEG両方撮っておきたいという方はRAW+JPEGにすると良いと思います。
ちなみに「MENU→画質/記録→JPEG/HEIF切替」でHEIFファイルにも切り替えることができます。
「HEIF」ファイルは静止画版のXAVC HSみたいなもので、ファイルサイズは小さいけど情報は豊富、でも汎用性は低いという感じです。
HEIFは数えるほどしか使ったことはないですし、オススメもしないです。
そしてRAWで撮る場合はRAWの記録形式を選びます。
- 非圧縮RAW
- ロスレス圧縮RAW
- 圧縮RAW
非圧縮RAWは編集耐性が高いですが、画像1枚で25MBほどあります。
ロスレス圧縮RAWは画質低下を抑えた圧縮がされていて、ファイルサイズは15MBほどになります。
圧縮RAWはファイルサイズ13MBほどに圧縮されていて、画質的には3つの中で一番悪いです。
とはいえRAWファイルなので個人的には十分高品質だと思っています。
ちなみにJPEGだと6MBほどになります。
あとZV-E1の連写速度は設定をHi+にすると1秒10枚になるんですが、公式のヘルプガイドを見ると「非圧縮RAW、ロスレス圧縮RAWだと速度が低下します」と書いてあります。
ただ実際に試してみると非圧縮RAWでも1秒10枚で撮れたので、この記載は間違いかもしれません。
そしてJPEGで撮る場合はJPEG画質や画像サイズ、アスペクト比を選びます。
ZV-E1は画素数が少なくて基本的にファイルサイズが小さいです。基本的に一番良い設定の「エクストラファイン」と「L」で良いんじゃないかと思います。
アスペクト比については好みのものを選ぶと良いですが、後でトリミングできるなら3:2で撮っておくのが一番有利です。
RAWファイルは基本3:2の比率になります。
ちなみにZV-E1の写真性能についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
以上、今回はZV-E1の画質設定について解説してきました。
難しい単語も結構ありますが、それぞれの特徴をしっかり理解しておけば自分に必要な設定が選べるようになると思います。
ちなみにZV-E1の情報をまとめた1ヶ月レビュー記事もあるのでよければご覧ください。
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