今回はSONY ZV-E10IIの手ぶれ補正の仕様を解説していきます。
以前お話したとおり、ZV-E10の電子式手ぶれ補正には問題点が3つありました。
- SSを長くした時の滲み
- 4Kでの性能低下
- クロップ倍率
ZV-E10IIでこのあたりがどう変化したのか確認してきたので解説をしていきます。
文章でも解説はしますが、動画で見ないとわからない部分も多いので、できれば動画の方をご覧ください。
ZV-E10IIの手ぶれ補正 滲み
ということでまず1つ目にシャッタースピード(SS)を長くした時の滲みです。
電子式補正は滲みが出る
電子式補正ではSSを長くした時に滲みが発生します。
仕組みを簡単に説明すると、光学式補正はセンサーを動かしてブレを物理的に打ち消すものです。
電子式補正は、ブレた画像をトリミングして位置を調整してブレてないように見せるものです。
位置を調整するだけなので、ブレた時に発生する軌跡やモーションブラーを消せないので滲みとして残るわけです。
これはZV-E10に限らずアクションカムや多くのスマホなども同じです。
そして、動画のSSの目安はフレームレート2倍分の1秒ほどとされています。
24Pで1/50秒とか30Pで1/60秒に設定するとSSが長くて滲みが出るのでSSは数百分の1秒まで短くしないといけない状況でした。
滲み検証(夜景)
今回この現象を確認するために4K24PでSS1/50秒にして手持ち歩き撮影をしてみました。
撮影してみてまず思ったのは、滲み以前に補正効果がやけに低いということです。
やっぱりZV-E10IIも4Kだと補正効果が落ちるのかなと思いながらも、今度はそのままSSを1/100秒にしてみました。
1/100秒で撮影すると、先ほどより補正効果が高まって滑らかになりました。
そのまま1/200秒くらいまで短くしてみたかったんですが、夜景撮影でこれ以上SSを短くしたらフリッカーが酷くなる状況だったので、翌日の昼間にもう一度確認してみました。
滲み検証(日中)
ZV-E10IIにSELP1020Gをつけて広角端、両手持ちで歩き方は何も気にせずラフに歩いています。
やっぱりSS1/50だと補正効果が低くてフラフラする感じです。
これは撮影中に画面を見てもわかるくらいフラフラします。
そして、1/50から1/100にSSをあげてみると、補正効果がかなり高まっています。
ただ映像を停めるとやっぱり滲みが出ていて、スマホなどの小さい画面で見るとどうかわかりませんが、大きい画面で見ると滲みで解像感はなくなった感じがします。
先ほどの1/50秒の映像もブレが目立ってわかりにくかったですが、滲みが出ています。
そして今度はSSを1/200にしてみます。
すると補正効果は高い状態で、動画を停めても滲みがほとんど出ない状態になりました。
1/400秒にしても同様です。
滲み検証結果
つまり、ZV-E10IIの電子式補正も滲みはやっぱり出るというのと、SSを長くした時に補正効果が下がるということがわかりました。
補正効果がどこで最大になるのかまでは確認できてませんが、1/100秒あたりからSSを長くするほど段々補正効果が下がることはわかりました。
遅くとも1/100秒くらいにはしないと補正効果的にも滲み的にも厳しいという感じです。
ちなみに1/100でもゆっくり丁寧に歩くと滲みも少ない、結構綺麗な映像が撮れます。
ただ光学式補正の機種ならSSの制約なく撮れるので、ここではZV-E10IIのデメリットが目立った感じです。
4Kでの性能低下
続いて2点目の4Kでの性能低下についてです。
ZV-E10の仕様
ZV-E10ではFHDと4Kで補正効果に違いがあって、FHDならそれなりに滑らかに撮れるんですが、4Kで手持ち歩き撮影は正直厳しいという感じです。
FHDだとやっぱり解像感は落ちますし、クロップによって使える画素数が減ってる分の画質低下もあります。
やっぱり4Kでアクティブモードをまともに使えるようにしてほしいというのは多くの方が思っていたところだと思います。
ZV-E10IIの4K性能
そしてZV-E10IIはどうかというと、改善されて4Kでも滑らかな映像が撮れるようになっています。
ZV-E10のFHDよりも補正性能は高いくらいかもしれません。
ちょっと今回ラフに歩きすぎたので着地の衝撃が伝わったりはしてますが、印象は結構良いです。
今回使ったSELP1020Gは広角で条件がかなり良いので、また今度キットレンズのSELP1650IIあたりでも確認したいと思います。
クロップ倍率
ポイント3つ目にクロップ倍率です。
ZV-E10のクロップは1.44倍
ZV-E10のアクティブモードはクロップ倍率が1.44倍あるので画角がかなり狭くなるというデメリットがありました。
キットレンズの広角端16mmだと換算35mmで標準領域に入るくらいになるということです。
ZV-E10IIのクロップ倍率
今回ZV-E10IIのクロップ倍率を確認したところ、1.33倍でした。
結構倍率が落ちてるんですが、16mmだと32mmということでやっぱりキットレンズだとあまり広くは撮れなさそうで自撮りもかなり狭くなります。
今回使った1020Gだと換算20mmくらい、11F18だと22mmくらいなので、このあたりなら風景も広く撮れて自撮りにも使えそうな感じです。
ZV-E10IIの手ぶれ補正まとめ
今回の検証でわかったことをまとめておきます。
滲み
ZV-E10IIのアクティブモードはSSを長くすると滲みが出るのと補正効果も下がります。
手持ちの歩き撮影では長くても1/100秒くらい、理想は1/200秒より短くした方が良さそうです。
低いフレームレートでSSを短くすると映像にパラパラ感が出てしまうので、4K60Pで撮るのが理想だと思います。
4K性能
2つ目に、ZV-E10の4Kで補正効果が下がる仕様は、ZV-E10IIでは改善されています。
ZV-E10のFHDは結構滑らかに撮れましたが、補正効果はそれと同じか高いくらい。
これは結構大きなメリットです。
クロップ倍率
3つ目に、クロップ倍率は1.33倍でZV-E10IIよりも小さくなっていますが、やっぱり大きい倍率ではあります。
風景を広く撮ったり、歩き撮影の躍動感を出すなら1020Gか11F18あたりのレンズが良いかなと思います。
補足
ZV-E10のアクティブモードは、光学式の機種と違ってサードパーティレンズでも補正性能が下がらないという仕様でした。
今サードパーティの広角レンズがないので試せてないんですが、同じ仕様ならサードパーティの広角レンズも選択肢に入ってくるかもしれませんし、他の機種にはない強みになるかもしれません。
ということでZV-E10IIの手ぶれ補正検証でした。
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