今回はSONYのコンパクトなカメラ4機種を比較していきます。
ZV-E10IIも発表されて、SONYのコンパクト機種を見比べている人も多いのではないでしょうか。
今回は僕が実際に使ってきたZV-E10、α6700、α7CII、ZV-E1の4機種の比較をしつつ、ZV-E10IIについても触れていくのでカメラ選びの参考にしてみてください。
ちなみに今回の記事は動画にもしてあるのでみやすい方でご覧ください。
4機種のスペック比較
まずはスペックをサッと比較していきます。
センサーサイズ
- ZV-E10 :APS-C
- α6700 :APS-C
- α7CII :フルサイズ
- ZV-E1 :フルサイズ
- ZV-E10II:APS-C
センサーサイズはα7CIIとZV-E1がフルサイズで他はAPS-Cとなっています。
フルサイズはボケを使った表現などに有利になります。
画素数
- ZV-E10 :2420万
- α6700 :2600万
- α7CII :3300万
- ZV-E1 :1210万
- ZV-E10II:2600万
画素数は、α7CIIが多くZV-E1が少ないです。
大きめの印刷やトリミングをするなら画素数が多いほどいいですが、SNSで使ったりA4印刷くらいであればZV-E1でも十分足ります。
ちなみに僕はTwitterなどのSNSではFHDの200万画素くらいに書き出しています。
最大常用ISO感度
- ZV-E10 :32000
- α6700 :32000
- α7CII :51200
- ZV-E1 :102400
- ZV-E10II:32000
最大常用ISO感度は暗所性能(高感度耐性)の目安になります。
基本的にはフルサイズの方が暗い場所に強いですが、APS-Cも明るいレンズを使えば夜景や星を綺麗に撮れます。
解像度とフレームレート
- ZV-E10 :4K30P 1.2倍
- α6700 :4K120P 1.6倍
- α7CII :4K60P 1.5倍
- ZV-E1 :4K120P 1.1倍
- ZV-E10II:4K60P 1.1倍
書いてある倍率はクロップ倍率で、大きいほど画角が狭くなってしまいます。
α6700とZV-E1は4K60Pでもクロップされないのは同じです。
ただ4K120Pでのクロップ倍率が結構違うので頭に入れておいた方が良いです。
α7CIIは1.5倍クロップで、ZV-E10IIは4K60Pで1.1倍ほどクロップされるようです。
手ぶれ補正
- ZV-E10 :電子式
- α6700 :光学式5段
- α7CII :光学式7段
- ZV-E1 :光学式5段
- ZV-E10II:電子式
ZV-E10とZV-E10IIの電子式補正は静止画で使えないので注意してください。
電子式補正のデメリットは先日の記事でも触れています。
モニターとファインダー
- ZV-E10 :92万ドット 3型
- α6700 :103万ドット 3型
- α7CII :103万ドット 3型
- ZV-E1 :103万ドット 3型
- ZV-E10II:103万ドット 3型
モニター性能はZV-E10だけ少し落ちますが、他は103万ドットの3型です。
ファインダーはα6700とα7CIIにあって、ZV-E10とZV-E1にはありません。
重さ
- ZV-E10 :343g
- α6700 :493g
- α7CII :514g
- ZV-E1 :483g
- ZV-E10II:377g
重さはZV-E10とZV-E10IIのメリットがありそうです。
ZV-E10のメリット
ここからはそれぞれの機種のメリットをあげていきます。
悪い部分も知った上で選んだ方が良いので、しっかりデメリットも補足していきます。
まずはZV-E10です。
軽さ
1つ目のメリットは軽さです。
ZV-E10には光学式補正がないので、手ぶれ補正には正直期待はしないほうが良いです。
ただ軽さを活かして、ジンバル運用などしても負担が少ないというメリットがあります。
最近のジンバルは小型で安価なものも多いので、ZV-E10やZV-E10IIをジンバル前提で買う人も結構いると思います。
光学式補正がある機種でも大きな揺れには耐えられないし、滑らかに撮るならジンバルがやっぱり有利です。
個人的にもCRANE M2SとZV-E10とキットレンズの組み合わせでアクティブモードもなしでVlogを撮るのは結構好きです。
ただジンバルの操作やバランス調整は初心者にはハードルが高いので、中級、上級者の買い方のような気はします。
メカシャッター
メリット2つ目はメカシャッターです。
値段と軽さを考えるとメカシャッターまであるのはZV-E10の大きなメリットで、他のZVシリーズにはないものです。
メカシャッターは素早いものを撮った時の歪みを抑えたり、人工光源が点滅するフリッカーを抑えやすくしたり、フラッシュの同調速度も早くできるので静止画撮影でとても重宝します。
ただ、どのカメラでも動画やサイレント撮影ではメカシャッターは使えないですし、この場合、ZV-E10は他の機種より歪みやすいので注意が必要です。
特にカメラを素早く振ったりすると全体が歪んでしまうので、ゆっくり丁寧に撮影する必要はあります。
値段
メリット3つ目は値段です。
やっぱり圧倒的な安さがあるから足りない部分に目をつぶれたり、足りない部分を他の機材で補ったりできます。
レンズもいくつか持っておきたいとなると、本体の負担を抑えたくもなります。
7月現在では低価格のZV-E10ですが、8月の値上げでどのくらい値上がりするかによって、評価も変わるかもしれません。
それとZVシリーズにはウィンドジャマーが付属しているので、外部マイクなしで屋外で気軽に動画を撮るのに重宝します。
あとパワーズームレンズであればズームレバーが使えるのも大きなメリットです。
α6700のメリット
続いてα6700のメリットです。
AIAF
まず1つ目はAIAFです。
α7CIIにもZV-E1にもありますが、APS-Cで搭載しているのは現状α6700だけで、AIAFが使える最安機種でもあります。
これまでにたくさん検証もしていますし、野鳥や動物もたくさん撮ってきていますが、やっぱりあるのとないのでは検出性能が全然違います。
被写体の向きや距離、障害物など条件が比較的良ければAIAFがなくても特別問題ないと思います。
ただ、条件が悪ければ悪いほどAIAFは重宝します。
4K120P
メリット2つ目は4K120Pです。
4K120PはZV-E1も使えますが、AIAFと同じく4K120Pが使える最安機種になります。
4K120Pは24P変換で5倍スロー映像になりますし、FHD240Pは10倍スローになるので、スロー映像を撮りたい方は注目ポイントです。
ただα6700の4K120Pは1.6倍くらいのクロップがあるので、画角には注意した方が良いのと、使える画素数が減るわけなので、画質もある程度落ちます。
僕の場合は遠くにいる動物をスローで撮ったりするので、クロップはむしろ望遠で使えてメリットになったりはしています。
ちなみにZV-E1は4K120Pでも1.1倍クロップで撮影ができます。
操作性
メリット3つ目は操作性です。
α6700のグリップは他のコンパクト機種とは明らかに違って握りやすいです。
握りやすさの順番でいうと、α6700、α7CII、ZV-E1、ZV-E10の順になると思います。
APS-Cのスチル機ということで、重い望遠レンズに耐えることも想定してグリップが作られていると思います。
あとファインダーもα7CIIにアイカップはありませんがα6700にはあるので、遮光性や安定性が確保できて良いです。
あとダイヤルとホイールの数についてもZV-E1とZV-E10が2つだけなのに対してα6700は3つなので、素早い直感的な操作がしやすくなっています。
α7CIIのメリット
続いてα7CIIのメリットです。
画素数
メリット1つ目は画素数です。
冒頭にお伝えした通り、トリミングや大きい印刷でもしなければ基本的に画素数は3300万もいらないと思います。
ただこの画素数のおかげでSuper35mmモードの画質が良いというのはポイントです。
Super35mmモードは1.5倍画角を狭められるモードなんですが、フルサイズ用レンズだと2つの画角が使えるということになります。
24mmレンズだと24mmの画角と36mmの画角が使えるということです。
これに加えてAPS-C用レンズも使えるので、重いフルサイズ用レンズではなく軽いAPS-C用レンズでVlogなども撮れるようになっています。
このSuper35mmモードはフルサイズ機なら大体の機種で使えるんですが、画素数のバランス的にはα7CIIとα7IVがベストだと思います。
A7SIIIなどの1200万画素の機種はFHDでしか使えないし、α7IIIなどの2400万の機種だと4Kの画質劣化を感じます。
α7RVなどの高画素機だとフルサイズでオーバーサンプリングできず、Super35mmと画質が逆転してしまいます。
フルサイズもSuper35mmも良好な画質で撮れるのがα7CIIのメリットというわけです。
手ぶれ補正性能
メリット2つ目は手ぶれ補正性能が高いことです。
α6700とZV-E1は光学式手ぶれ補正5段ですが、α7CIIは7段の補正性能があります。
以前、補正効果を確認する検証をしたら、6.7段か7.0段くらいの効果が出たので、やっぱり性能に違いはあります。
ちなみに1段というのはSSを倍にしてもブレないということなので、1/50と1/25秒が1段の差という意味です。
SSが長くなりやすい暗所での静止画手持ち撮影で特に重宝すると思います。
動画のアクティブモードについてもZV-E1やα6700のアクティブモードと大きな差はないですが、やや補正効果が高いです。
一応、数少ない協調制御補正が使えるカメラなんですが、カメラのタイプ的に活用している人はかなり少ないとは思います。
ダイヤルホイールが4つ
メリット3つ目はダイヤルホイールが4つあることです。
4つあることで、F値,SS,ISO感度に加えて露出補正用のダイヤルも確保できて、フレキシブル露出モードも使えます。
フレキシブル露出はF値、SS、ISO感度の自動手動切り替えがボタンを押すだけでできるモードです。
室内と屋外など大幅な露出変化がある場合にフレキシブル露出なら瞬時に手動から自動に切り替え切り替えられますし、動画の撮影中でも切り替え可能です。
この機能はボタンとダイヤルがそれなりにないと成立しない機能なので、多くのコンパクト機種では使えない機能です。
本格的に動画を撮る方にとっては注目ポイントかもしれません。
ZV-E1のメリット
続いてZV-E1のメリットです。
ダイナミックアクティブ
1つ目はダイナミックアクティブモードです。
現状ZV-E1とα9IIIでしか使えない機能で、アクティブモードより強力に動画のブレを抑えてくれます。
アクティブモードは特に旋回時のガタつきが出やすいんですが、それを抑えやすくなるようなイメージです。
ただ、ダイナミックアクティブはクロップ倍率が1.44倍ほどあって画角が狭くなるし、使える画素数が減る分、画質は落ちるので、結構賛否がある機能だと思います。
ただ選択肢が増えるので、あった方が良いのは間違いないです。
ZV-E1はα7CIIと同じく協調制御補正も使えるので、望遠で動物の動画を撮る時など重宝しています。
暗所性能
メリット2つ目は暗所性能です。
ZV-E1は画素数が少ない代わりに最大常用ISO感度102400の高い暗所性能があります。
α7SIIIやFX3と同じセンサーが使われていると言われていて、間違えてVLOGCAMとして出てしまった実質のα7CSです。
F4レンズで夜景が綺麗に撮れるし、FX3やα7SIIIにはないAIAFもあります。
ただ今回紹介している機種はどれも熱耐性で劣るのでここはしっかり考えて買う必要があります。
ただ用途次第ではAIAFがある分FX3などより高い性能を発揮するので、僕の用途には大ハマりしていて、α7SIIIやFX3ではなくZV-E1じゃないとダメという状況です。
歪み耐性
メリット3つ目は歪み耐性です。
ZV-E1はZV-E10IIと同じくメカシャッターが搭載されていません。
ただ画素数が少ないおかげで、基本的に歪みが発生しにくいので、動画では積層型を除くほとんどの機種より有利ですし、詰まるところFX3などと同じレベルの動画が撮れます。
もちろん、静止画に関しては素早い動体に積極的に使っていいとは思いませんし、フラッシュの同調速度も遅いし、フリッカーも出やすいだろうとは思うので、そのあたりは踏まえて使う必要があります。
それでも日常使いではほぼ困りませんし、動画メインで合間に静止画を撮ったりするときには普通に動物を撮ったりしています。
SONY4機種比較 まとめ
最後にそれぞれの機種を簡単にまとめていきます。
ZV-E10
ZV-E10はやっぱり軽くて安いのが一番の強みです。
その分足りない性能、機能もあるので、機材や技術やで補う必要はあると思います。
α6700
α6700は値段に対してかなりハイスペックなカメラです。
AIAF、光学式補正、メカシャッター、操作性、4K120Pなどがあるカメラとしては現状安すぎると思います。
α7CII
α7CIIは写真も動画も撮れるオールラウンドカメラです。
Super35mmモードのおかげでAPS-Cからのステップアップもしやすいと思います。
ただ4K60Pの1.5倍クロップにどう対応するかはあらかじめ考えておいた方が良いです。
ZV-E1
ZV-E1は結構尖ったカメラですし今回紹介する中では一番高価なので、ハマる人とハマらない人が出そうなカメラです。
ただ簡単に言うとメカシャッターとファインダーがないα7CSなので、この見方だとかなり安く見えるとも思います。
ZV-E10II
そしてZV-E10IIなんですが、正直これらの機種と比べると突出した強みはあまりないです。
軽さと値段と性能がちょうど良いと感じる人が買うカメラだと思います。
8月の値上がり後に、改めてスペックと値段を見比べると相対的に評価が上がる可能性はあるかもしれません。
それぞれのカメラについて、検証も解説も過去にたっぷりやっているので、そちらも見ながら検討してもらえればと思います。
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