カメラはメーカーやスペックなどに違いがありすぎて、どれを選べばいいかわかりづらいです。
今回は、ミラーレス一眼カメラを種類分けして選びやすくするという目的でお話していきます。
この記事を書いているのは写真家の奥睦志(おくともゆき)です。
撮影した写真はこちらのSNSで紹介されています。
入門機
ということで、カメラを次の5種類に分けて解説します。
- 入門機
- 標準機
- 高画素機
- 高感度機
- 高速機
まず入門機、エントリー機です。
これは名前の通り、初心者が買うことを想定されているカメラです。
代表的な機種は次のとおり。
- SONY:ZV-E10、α6400
- Canon:R100、R10
- Nikon:Z30、Z50II
特徴は値段が安くて購入しやすい代わりに、機能や性能は控えめという感じ。
センサーもフルサイズではなく、小さめのAPS-Cの場合が多いです。
意外と注意が必要
エントリーモデルだからわかりやすいスペックかというとそうでもありません。
むしろ、当たり前と思っていた機能が削られていることもあるので注意が必要です。
手ぶれ補正
例をあげると、1つは手ぶれ補正です。
カメラの手ぶれ補正には大きく分けて「電子式」と「光学式」の2つがあります。
電子式は動画用の手ぶれ補正なのですが、写真でも使えると思って電子式を買ってしまう方が結構います。
静止画でも手ぶれ補正を使いたいなら光学式補正のカメラを選びましょう。
グリップとファインダー
あとグリップとファインダー、モニターの仕様にも注意が必要です。
エントリーモデルは比較的簡素な作りなので、グリップが小さかったりファインダーが無かったりすることがあります。
大きなレンズだとアンバランスになって持ちにくかったり、望遠撮影ではファインダーがなくて困ることもあるかもしれません。
触ってみて気づくことがいろいろあるので、ぜひお店などで触らせてもらいましょう。
モニターの回転
あと背面モニターが開閉や回転するかもポイントです。
花やペットなどを低い位置で撮影する場合には、モニターを上向きにすることで撮影がしやすくなります。
また、動画を撮る時もモニターを上に向けて腰の高さで撮影すると楽です。
機種によっては回転する角度が小さかったり、全く回転しない機種もあるので注意してください。
まとめ
入門機だから綺麗に撮れないということはありません。
ただ、入門機はいろんな機能や性能が削られていることも多いです。
購入前にたっぷり情報収集して、実際に触ってみるのをオススメします。
標準機
続いて標準機、スタンダード機です。
画素数も高感度耐性も機能も標準的で、買って失敗することが少ないカメラとも言えそうです。
- SONY:α7IV、α7CII
- Canon:R8、R6MarkII
- Nikon:Z5II、Z6III
機種が多い
標準機と言えそうなカメラは各社多いです。
フルサイズのエントリー〜ミドルクラス機、APS-Cのハイエンドなどもあって幅広いです。
(上記の機種は全てフルサイズ)
また、コンパクトさが強みのSONYα7CIIや、ファッション性も備えたNikonZfも性能的には標準機かなと思います。
性能や機能
性能や機能をいくつか挙げてみます。
手ぶれ補正は光学式補正が搭載されていることが多く、これなら動画と静止画両方で使えます。
フルサイズセンサーは高感度耐性が高いので、夜景などもノイズを抑えて綺麗に撮りやすいです。
動画も4K60P以上の高解像度で滑らかな映像を撮影できたりします。
まとめ
個人的には、趣味の範囲でこれ以上のスペックが必要になることはあまりないと思っています。
もちろん趣味にもレベルがありますが、これ以上のスペックが必要なのはベテランさんじゃないでしょうか。
また、特化した性能が求められる現場でなければ仕事でも十分使えると思います。
高画素機
続いては高画素機です。
標準機より少し値段が上がりますが、フラッグシップ機まではいきません。
- SONY:α7RV
- Canon:R5MarkII
- Nikon:Z7II
NikonのZ7IIは2020年に発売されてから更新されていないので、スペック的に少し劣る部分があります。
メリット
5,000万画素前後の豊富な画素数で、大判印刷や大画面表示しても細部まで緻密な表現ができます。
また、強めのトリミングをしても画素数を確保できるのも強みです。
近づくことが難しい野生動物の撮影や撮影倍率に限界があるマクロ撮影でも重宝します。
動画では6Kや8K動画が撮れる機種も増えており、動画においてもトリミングは活用できます。
デメリット
デメリットとしては1画素のサイズが小さい分高感度耐性が落ちるので、暗所撮影に強いとは言えません。
また、画素数が多い分ファイルサイズが大きくなり、ストレージを圧迫しやすいというのもあります。
高画素な分レンズに求められる解像性能も高くなり、比較的高価なレンズも必要です。
まとめ
撮った写真をSNSで使ったりパソコン上で鑑賞するくらいなら高画素機はオーバースペックになりやすいです。
動画も現状は4Kが主流で、6Kや8Kはやはりオーバースペック気味だと思います。
大判印刷やトリミングなど、ハッキリした目的がなければ非常にコスパの悪い買い物になってしまうので要注意です。
高感度機
続いて高感度機です。
SONYのα7SIIIやZV-E1、FX3があたりますが、他のメーカーでわかりやすい高感度機はあまりないように思います。
メリット
最大常用ISO感度10万ほどの高い高感度耐性で暗所での撮影にとても強い機種です。
画素数が少ないのがデメリットですが、ファイルサイズが小さくなるというメリットにもなります。
印刷したとしてA4程度だったり、SNSで活用する程度であれば画素数で困ることはないです。
また、読み出しが早いことでローリングシャッター歪みが少なく、動画やサイレント撮影でも重宝します。
4K120Pなどの高フレームレートも使用可能。
デメリット
画素数が少ないので強めのトリミングをしたりA3を超える印刷をすると粗さが目立ちます。
仕事用だと選択肢が狭まるかもしれないので注意です。
まとめ
画素数が少ないとファイルが小さくなり、歪みも小さくなるというメリットも生まれます。
スマホやタブレットなどでの鑑賞が増えた昨今では、低画素のデメリットはかなり小さくなっているようにも思います。
用途によりますが、個人的には高画素機より高感度機の方がオススメです。
高速機
最後に高速機です。
高速機は各メーカーでフラッグシップやハイエンドに位置付けられているので、高価なカメラが多いです。
- SONY:α1II、α9III
- Canon:R1、R3
- Nikon:Z9、Z8
高速機とは?
乗り物、スポーツ、動物など高速の被写体に対応できる機種で、備えている性能としては次のとおりです。
- 高速連写
- 高速AF
- 高速読み出し
高速連写
高速の被写体は位置や、姿勢、向き、表情なども変わり続けるので、狙いすまして1枚で撮り切るというのはほぼ無理です。
なんなら同じ状況は二度と生まれないかもしれないので、撮り逃さないように連写をするんです。
高速機の連写と言っても1秒20〜120コマほどでかなり幅があります。
人によって「120コマもいらない」とか「20コマじゃ足りない」などいろんな意見がありますが、用途と求める精度次第なので自分で考えるしかありません。
現状は30、40あたりが標準的なのかなとは思いますが、個人的にはα9IIIで120コマをデフォルトにしています。
高速AF
そして、連写をしても被写体にピントが合っていなければ意味がないので高速AFが必要になります。
MFで動体にピントを合わせ続けるのは不可能と言っていいレベルです。
高速機には各メーカーの最高レベルのAFを載せてあると思いますが、メーカーごとに性能やクセは違うと思います。
数年前はSONYのAFがとても評価されていましたが、最近は各社レベルが上がり、競争が激しくなってきている印象です。
高速読み出し
そして高速読み出し。
これは色んなことに影響しますが、特にはローリングシャッター歪み耐性の意味です。
センサーの読み出し速度が遅いと、センサーの上下で読み出すタイミングがズレて歪みになってしまいます。
この歪みは素早い被写体を撮るときに顕著になるので、高速機には読み出し速度も求められます。
Α9IIIは「グローバルシャッター」という読み出し方式なので完全に歪みません。
他の機種は厳密には歪みが発生しているわけですが、フラッグシップクラスなら見た目上の大きな差は出なそうです。
逆に入門機や高画素機は一般的に歪みが発生しやすいです。
まとめ
高速の被写体を撮るには高いスペックが必要で、それに応じて値段も上がるので、高速機はとても高価なカメラです。
スペックが高いと言っても、高速機に使われるセンサーは高感度耐性が低いというデメリットも持っています。
高いカメラなら綺麗に撮れるというわけではなく、むしろ使いもしないスペックにお金を出すだけになると思うので注意してください。
カメラの種類まとめ
最後に今回の内容をまとめつつ、個人的にいいなと思っているカメラも挙げていきます。
カメラ選びのためにカメラを大きく5種類に分けてみました。
- 入門機
- 標準機
- 高画素機
- 高感度機
- 高速機
の5つです。
入門機
入門機は安価にカメラを始められるというメリットがありますが、手ぶれ補正やファインダー、モニター、グリップなどに不足があったり、性能的にも他より劣りやすいです。
ただ入門機では綺麗に撮れないということではありません。
自分に合ったカメラを選ぶためにも実際に触ってみたり、じっくり調べて購入するのをオススメします。
個人的にはZ50IIの完成度は高めだと思っていたりします。
ただ光学式手ぶれ補正は搭載していないので、必要な方はSONYのα6700あたりを検討してみてください。
少し高額になりますがとてもオススメできるカメラです。
標準機
標準機は、画素数、高感度耐性、機能的にも標準的。
特化した性能を求めなければ大体これで満足しそうという機種が多いです。
人気のSONYα7CIIは気軽に持ち出して高いクオリティの写真や動画を撮れるのでオススメです。
ただフルサイズ用レンズは大きいものも多いのでアンバランスにならないように注意しましょう。
入門機としても紹介しましたが、APS-Cではα6700もオススメできるカメラです。

Nikon Zfも人気のカメラで、レトロな見た目と性能の高さが魅力です。
高画素機
高画素機はトリミング耐性や緻密な表現ができるメリットがありますが、ストレージやレンズの性能を考えるとハードルが高くなるとは思います。
「高画素な方が綺麗になるはず」と安易に考えない方が良くて、具体的な目的を持って購入した方が良さそうです。
R5IIはCanonの中では高画素機という位置付けです。
ただ読み出しが早くて歪みも抑制できるので、高速機に近いと考えてもいいスペックじゃないかとも思います。
高感度機
高感度機としてはSONYのα7SIII、ZV-E1、FX3があります。
3機種とも同じセンサーなので画素数が少ない代わりに4K120Pが撮れて、歪みも少なく、暗所に強いという性質があります。
あとは静止画、Vlog、業務用などの用途や値段で選べばいいのかなと思います。

高速機
最後に高速機ですが、こちらは素早い被写体を撮るための機種になります。
スペックをしっかり見ていくと、画素数や連写コマ数などいろいろ違いがあります。
Z8やZ9はプリキャプチャでRAWが使えないのが個人的には厳しいポイントです。
ただZ8は値段に対してスペックが非常に高いので人気機種でもあります。
こういう仕様は説明を細かいところまで見たり、レビューを見たりしておかないと気づかないので注意が必要です。
SONYユーザーなので高速機ではα1IIをおすすめしたいところですが、とりあえず今回の記事では「高いカメラなら綺麗に撮れる」という考えの人を止められればいいとも思っています。

機材選びの参考にしてみてください。

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