SONYα9IIIの2ヶ月『まとめレビュー』!グローバルシャッターと動体撮影性能で尖ったカメラ

SONYα9IIIの2ヶ月レビュー!グローバルシャッターと動体撮影性能で尖ったカメラ

今回はSONYα9IIIの2ヶ月レビューをやっていきます。

簡単に結論からお伝えすると、用途がバッチリはまると本当に良いカメラで、現状α9IIIじゃないと撮れない写真が撮れてとても満足しています。

ただ逆に、α9IIIの特性を活かせる用途でないならむしろ良い成果は出にくいと思います。

高いカメラだし話題にもなったから、なんでも綺麗に撮れるはずと思って買うと失敗する可能性が高いので、今回のレビューを参考にしていただければと思います。

ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので見やすい方でご覧ください。

目次

α9IIIのスペック紹介

α9IIIのスペック紹介

まずはα9IIIのスペックを簡単に紹介します。

センサー

SONYα9IIIのセンサー
SONYα9IIIのセンサー

α9IIIには有効2460万画素のフルサイズセンサーが載っています。

フルサイズセンサーですが、高感度耐性の目安である最大常用ISO感度は25600と低い数値になっています。

他機種との高感度耐性比較もやったので後ほど紹介します。

手ぶれ補正

手ぶれ補正は光学式8段で、対応レンズで補正性能が上がる協調制御補正もあります。

動画ではアクティブモードに電子式補正も加えたダイナミックアクティブも使えます。

ダイナミックアクティブはZV-E1に続いて2機種目で、1.4倍ほどのクロップがありますが高い補正性能を発揮します。

フォーマット

静止画のファイル形式は次のとおりです。

  • 非圧縮RAW
  • ロスレス圧縮RAW(S、M、L)
  • 圧縮RAW
  • JPEG
  • HEIF

動画フォーマットは次のとおりです。

  • XAVC S
  • XAVC HS
  • XAVC SI

編集に強い4:2:2 10bit撮影もできて、ATOMOSレコーダーでのProResRAW収録も可能。

ファインダーとモニター

α9IIIのファインダー
α9IIIのファインダー

ファインダーは944万ドットで倍率0.9倍、最大240fps。これはα1と同じスペックです。

α9IIIのモニター
α9IIIのモニター

210万ドットで3.2インチのバリチルモニターはα7RVと同じスペックです。

重さ

重さは703gということで、α1やα7RVより若干ですが軽くなっています。

メカシャッターレスなのも軽さに寄与していそうです。

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操作性

続いてα9IIIの操作性についてお話します。

従来の機種から変わっている部分がいくつかあるので重点的にお話します。

グリップ形状

1つ目はグリップ形状です。

α9IIIのグリップの太さ
α9IIIのグリップの太さ

従来の機種よりもグリップが少し太めになっています。

内側の傾斜がなくなったことで第一関節の引っ掛かりが良くなっています。あと外側のカーブが大きくなっているので手の平全体がフィットする印象です。

α9IIIのグリップ引っ掛かり
α9IIIのグリップ引っ掛かり

グリップ前面の中指の引っ掛かりは少し小さくなっている代わりに、内側にも引っ掛かりがあるので全体で支えられる形になっています。

α9IIIのシャッターボタンの高さ
α9IIIのシャッターボタンの高さ

また、シャッターボタンの位置が少し高くなって、人差し指とボタンに余計な隙間が出ないようになっています。

小さな調整の積み重ねですが、全体の印象としては手の平全体で持つようなホールド感のある形状です。

ボタンとダイヤル

続いてボタンとダイヤル配置です。

録画ボタンは背面に持ってきて、上部にカスタムボタンがきているのはα1などと同じです。

シャッターボタンと同じくカスタムボタンも高さが上がっています。

α9IIIのカスタムボタン5
α9IIIのカスタムボタン5

前面にはC5ボタンがあって、連写速度を上げるブースト機能が最初は割り当てられていますが、他のカスタムボタンと同じように割り当てを変えられます。

α9IIIの左肩ダイヤル
α9IIIの左肩ダイヤル

左肩にダイヤルがついているのもα1と同じで、上段で連写速度を変えて下段でフォーカスモードを変えられます。

僕の用途ではAF-C固定で120枚の設定がほとんどなので、左肩のダイヤルも連写速度ブースト機能も正直上手く扱えていない状況です。

むしろ右手で連写枚数を切り替えられた方が左手で支えられて楽なのでダイヤルは無効にしています。

ドライブモードは従来通りコントロールホイールの左に割り当てています。

ファインダーとモニター

最後にファインダーとモニターについてです。

冒頭にもお話したとおり、ファインダーは944万ドットで最高240fpsに設定できるんですが、240fpsだと倍率が下がって表示が小さくなります。

120fpsで0.9倍表示にするか、240fpsで倍率を下げるかというのは結構意見が分かれるような気もします。

僕は120fpsで0.9倍表示するようにしています。

モニターは4軸マルチアングル、いわゆるバリチルモニターです。

上下に回転させても良いですし、横に開いて回転させても良いので、選択肢が多い分メリットになります。

3.2インチで210万ドットのモニターも大きさ的にも解像度的にも十分かなと思います。

グローバルシャッター

続いてα9IIIのグローバルシャッターについてお話します。

僕自身は正直グローバルシャッターの強みを十分に活かした撮影はしてないんですが、仕組みやメリットについてはある程度理解しているので紹介しておきます。

シャッターの種類

ミラーレスカメラのシャッターには物理的にシャッター幕の開閉を行う「メカシャッター」とそれを使わず電子的に処理する「電子シャッター」の2つがあります。

電子シャッターにはシャッター音が発生しなかったり物理的な機構がいらないメリットがあります。

ただ読み出し速度が遅いセンサーだと歪んだり、フラッシュの同調速度が遅いなどのデメリットがあります。

ほとんどのカメラに採用されているのは「ローリングシャッター」という上から順番に情報を読み出す方式なので、これによってデメリットが生まれています。

逆にメカシャッターは、シャッター音が出たり本体が大きくはなりますが、歪みをかなり抑制できて同調速度もある程度短くできます。

なので多くのカメラではローリングシャッター方式の電子シャッターとメカシャッターを併用することで、互いのデメリットを補っていましたが、α9IIIはグローバルシャッター方式の電子シャッターだけを採用しています。

歪まない

グローバルシャッターを採用したことでいくつかのメリットがあるので紹介しておきます。

1つ目は歪みが発生しないということです。

ローリングシャッターは上から順に読み出したタイムラグが原因で歪みが発生しますが、グローバルシャッターはセンサー全体を同時に読み出すので歪みが発生しません

シャッター音も出せないし歪みも出したくないスポーツや動物撮影などでα9IIIは重宝します。

ただ、α9IIやα1の電子シャッターもグローバルシャッターほどではありませんが、ほぼ気にならないレベルまで歪みを抑えられていたので突出した強みではないかもしれません。

フラッシュ全速同調

メリット2つ目はフラッシュの全速同調ができることです。

ローリングシャッターでもメカシャッターでも、SSが長ければセンサー全体で同時に露光する時間がありますが、SSが短くなると全体で露光できる時間は減って、最終的には狭いスリットで露光することになります。

このスリットで露光している時にフラッシュを使っても、一部だけが明るくなって他は暗くなってしまうので、センサー全体で露光してる間に発光させるという縛りが生まれます。これが同調速度です。

なのでフラッシュを使う場合は同調速度を守るか、スリットが下りる間に何度も発光を行うハイスピードシンクロなどを行う必要があります。

それに対してα9IIIのグローバルシャッターなら、SSがどれだけ短くなってもセンサー全体で同時に露光を行えるので、どのシャッタースピードでもフラッシュ同調が可能です。

これが全速同調というメリットです。

フリッカー抑制

メリット3つ目はフリッカー抑制です。

照明などの人工光源は細かい間隔で点滅しているものなので、SSを短くしてスリットで露光するとフラッシュの例のように明るい部分と暗い部分ができて縞模様になります。

グローバルシャッターならセンサー全体で同時に露光するので縞模様は発生しません。

ただ点滅自体がなくなったわけではないので、連写などをした時に写真ごとにに明暗差が出るという意味でのフリッカーはグローバルシャッターでは抑えられないので注意してください。

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メリット

続いてα9IIIのメリットについてお話します。

AF性能

まず1つ目はAF性能です。

α9IIIはAIAFの高い被写体検出性能に加えて、積層型センサーの高速読み出しも加わってAFの高速追従が可能になっています。

α9IIIのAF高速追従
α9IIIのAF高速追従

このAF性能なら素早い野鳥の前後の動きにも追従できます。

1秒120回の演算はα1も同じなので、速さに関しては大きくは変わらないのかもしれません。ただAIによる検出性能の高さがα9IIIの強みになっていると思います。

α9IIIのAF性能
α9IIIのAF性能

積層型ではない機種に関しては検出はできても高速追従ができないので、こういった写真は置きピンして飛び込んできた時くらいしか撮れないと思います。

動体に対するAF性能を作例から判断する時には、被写体が前後に動いているかを確認するようにしてみてください。

AF性能で参考にならない作例
AF性能で参考にならない作例

そもそもフォーカスというのは前後の動きなので、例えば被写体が真横に飛んでいる写真だと、AF性能は分かりません。

動き出す前にピントが合ってさえいればその後は追従できなくても被写体にピントは合うわけです。

AF性能の参考になる作例
AF性能の参考になる作例

なので、動体に対するAF性能を作例から判断するときはピントが合っているかだけでなく、顔が正面を向いているかであったり、前後の動きが入っているかを確認するようにしてください。

もちろん、追従性能ではなくて遠くにいたり後ろ向きの被写体を見つけられるかというような、検出性能を確認するならまた話は別になります。

連写性能

続いて2つ目は連写性能です。

α9IIIはα1の4倍にもなる1秒120コマ撮影をAF/AE追従で可能です。

他社を含めるとOM-1mkIIはAF/AE固定で120コマ、Z9はJPEG1100万画素限定で120コマ、R3は30コマという状況なので、AF/AE追従120コマでRAWまで使えるメリットは大きいです。

ただ用途はかなり限られると思うので、本当に必要かというのは考える必要がありそうです。

僕の場合は小型の野鳥・動物撮影なのでとても重宝していて、写真をコマ送りしてみると1秒30コマや60コマでは撮れない写真が間違いなくあるというのがよく分かりました。

プリ撮影

α9IIIのプリ撮影機能
α9IIIのプリ撮影機能

そしてメリット3つ目はプリ撮影機能です。

シャッターボタン全押ししたタイミングから1秒遡った分の写真を記録できる機能になります。

野鳥や動物の動き出しを撮ろうと思ったら、動き出してからシャッターを切るのでは完全に撮り逃すので、予め連写を始めておく必要があります。

連写を始めたはいいけど、意外と飛ばなくてバッファが詰まったり、無駄うちも増えるというのはよくあることです。

プリ撮影があると、シャッターボタン半押しで構えておいて、飛び出してから全押しすれば十分飛び出しの瞬間が撮れます。

このプリ撮影もAF/AE追従120コマで撮れますし、RAWでも記録できるので、動体撮影は基本プリ撮影もセットで使っています。

ということで僕の現状としては、高いAF性能と120枚連写、プリ撮影機能が活躍してくれています。

あとは先ほど紹介したグローバルシャッターや1/80000秒のSS、ブラックアウトフリー、ATOMOSレコーダーでのProResRAW撮影など、他にもメリットはたくさんあります。

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デメリット

続いてはα9IIIのデメリットを紹介します。

高感度耐性

まず1つ目は高感度耐性です。

発表当初から高感度耐性が心配という声がかなり上がっていたんですが、やはり良いとは言えない性能です。

α9IIIとα7CIIのノイズ比較
α9IIIとα7CIIのノイズ比較
α9IIIとα6700のノイズ比較
α9IIIとα6700のノイズ比較

実際に他機種との比較もしてみたんですが、α7IVのようなフルサイズ標準機と比べると1.3段くらいの差があって、α6700より少し上という感じでした。

APS-Cと同じくらいと思っておくと良さそうです。

比較はできていませんが、α1と比べたらおそらく0.7段前後は劣るだろうと思います。

実際に使ってきた印象としては、トリミング前提だとよりノイズが目立ちやすいので、ISO5000以上はできるだけ使いたくない感じです。

僕が使っているレンズが開放F6.3の暗いレンズなので、もっと明るいレンズなら条件はよくなると思います。

望遠撮影するならなんとか300mmF2.8、400mmF2.8、600mmF4.0などを使えると良いですよね。

SEL400F28GM SEL600F40GM

画素数

デメリット2つ目は画素数が少ないことです。

α9IIIは2460万画素なので標準モデルくらいの画素数はあるんですが、トリミング前提の動体撮影用としては物足りなく感じる方も多いと思います。

特にα7RVやα1を使ってきた方が使うとかなり厳しく感じるんじゃないかと思います。

ただ画素数を増やしたら増やしたで高感度耐性がさらに落ちるので、落とし所としてはこのあたりの画素数だったのかなという感じはしています。

AFAE追従連写の対応レンズ

デメリット3つ目はAF/AE追従連写の対応レンズがあることです。

カメラの演算が早くても、レンズ側の駆動が遅いと対応できないので、こういった限界があるのはしょうがないと思います。

ただサードパーティレンズだと最大15コマになるのは限界というより制限の問題だと思うので、そういったレンズが存分に使えないというのは痛いポイントです。

買うと良さそうな人

最後にα9IIIを買うと良さそうな人についてお話します。

買う理由

大きく2つあって、グローバルシャッターと動体撮影性能のどちらかに魅力を感じる人だと思います。

グローバルシャッターの全速同調やディストーションフリーは他機種ではできないことなので、買う理由で一番決定的なのはグローバルシャッターじゃないでしょうか。

あとは僕が使っているようなAF・連写・プリ撮影による動体撮影性能の高さも大きな理由になるような気がします。

ただローリングシャッターのままα1IIが出るとしたら、画素数や高感度耐性でメリットがあって、AFやプリ撮影については同じレベルがつきそうな気がします。

あとは120コマ連写をどう見るかというところで、α1IIを待つというのも全然ありなんじゃないでしょうか。

α9IIIはかなりピーキーな性能のカメラなので、グローバルシャッターと動体撮影性能の2つを活用しないならむしろもっと安いカメラの方が良いものが撮れると思います。

逆に用途にバチっとハマるとこれ以上ないカメラになると思うので、どういう使い方をするのか具体的に考えてから購入するのをおすすめします。

購入はSONYストアがオススメ

ちなみにα9IIIを購入するならSONYストアがオススメです。

アカウントを作って購入するだけで次のメリットがあります。

  • 10%OFFクーポン(初回も使える)
  • メーカー3年保証が無料
  • 定期的にクーポン配布

SONYストアの価格はパッ見だと高く感じるんですが、そこから10%OFFですし1年の無料保証が3年になるので、実はかなり安いです。

高い買い物なので、小売店保証よりもメーカー保証の方が安心できるというのもありますね。

ソニーストア

機材選びの参考にしてみてください。

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