今回はNikonZfとSONYα7CIIの比較をやってみます。
ミラーレス一眼の中でも1,2位を争うような人気機種なのでどんな違いがあるか比較してみます。
どちらにするか迷ってるという方も多いと思いますし、どちらも高い性能がありますがベクトルは全く違うことがわかったので、機材選びの参考にしていただければと思います。
ちなみに今回の内容は動画にもしてあるので見やすい方でご覧ください。
スペック比較
ではα7CIIとZfのスペック比較をサッとやっていきます。
センサー
まずセンサーですが、どちらもフルサイズの裏面照射型センサーで、Zfは2450万画素、α7CIIは3300万画素です。
暗所性能の目安である最大常用ISO感度はZfが64000、α7CIIは51200。
画素数が多いと感度が低くなるというわかりやすいパターンですが、暗所性能の比較は後ほど改めてやります。
画素数はα7CII、高感度耐性はZfが上
解像度とフレームレート
動画の解像度とフレームレートはどちらも4K60P、FHD120Pまでです。
4K60PだとAPS-Cにクロップされるという仕様も同じです。
4K60Pはどちらも1.5倍クロップされる
手ぶれ補正
手ぶれ補正はZfが8段、α7CIIは7段となっています。
後ほど動画の手ぶれ補正性能を比較します。
静止画と動画の手ぶれ補正性能は別と思った方が良い
連写性能
連写性能はZfで14枚、α7CIIは10枚です。
さらにZfはJPEG固定かつ電子シャッターという条件なら30枚連写も可能で、最大1秒遡って写真が撮れるプリキャプチャーもあります。
連写性能はZfが上
使い勝手
ファインダー性能はZfが369万ドットの0.8倍、α7CIIは236万ドットの0.7倍。
モニター性能はZfが210万ドットの3.2型、α7CIIは104万ドットの3型です。
重さはZfが710gでα7CIIは514gとなっています。
使い勝手の部分についても後ほど解説をします。
α7CIIは軽い代わりに表示系のスペックが低め
比較検証
では続いてα7CIIとZfの比較検証をやっていきます。
暗所性能
まずは暗所性能です。
暗い環境で撮影した写真を編集で持ち上げてノイズを目立たせます。
どちらもRAWで撮って設定も同じにしていますが、メーカーが違うので色の出方などは若干違いがあります。ご了承ください。
ということでまずはISO640から始めます。
α7CIIはISO400が2つ目のベース感度でZfは800。640を確認すれば低感度での違いがわかりやすいからです。
左上の黒い四角を見るとZfは少し緑に寄ってるような感じもします。
ただ、まだ低感度なので大きな違いはないようです。
ISO800はZfの2つ目のベース感度ですが、やはり大きな差は出なそう。
感度をどんどん上げていくと、ISO5000くらいになるとα7CIIはノイズで黒が少し浮いた印象になってきます。
ISO10000にもなると明らかに差が出ていて、左上の黒の四角が判別しづらくなっています。
Zfの最大感度である64000で終わりですが、基本的にZfの方が高感度耐性があるという結果です。
そしてどのくらい差があるかですが、ZfのISO5000とα7CIIのISO4000が同じくらい。
ISO10000だと8000か6400、ISO20000だと16000か12800くらいという感じ。
高感度耐性には0.5段くらいの差があると考えると良さそうです。
最大常用ISO感度でもわかるとおりZfの方が高感度耐性は上
手ぶれ補正
続いて手ぶれ補正の比較をします。
今回は動画の歩き撮影だけ確認して静止画の方は確認できていません。
Zfは光学式8段、α7CIIは7段という公式情報があるんですが、この段数が出る条件は同じではありません。
Zfは24-120mmの望遠端で撮影、α7CIIは50mmで撮影した時の数字です。
焦点距離によって求められる補正成分も違うわけですが、お借りしているレンズは限られているので、このあたりはまた方法をしっかり考えてからやってみたいと思います。
ということで動画の歩き撮影で効果を検証です。
α7CIIのアクティブモードもZfの電子式補正もどちらも少しクロップされるので、クロップ含めて25mmくらいになるように調整して撮影。
両手持ちですが、左手に乗せて右手は添えるくらい。歩き方もラフなので条件はあまり良くないと思います。
ということでα7CIIのアクティブモードで撮影。ふわふわ揺れるような感じはありますが、大きながたつきもなく撮れました。
続いてZfで電子式補正とノーマル補正を併用しています。
どうしてもブレを抑えきれない感じがして、正直歩き撮影には厳しい印象です。
念の為、スポーツを併用したり電子式補正だけで撮ったり、 VRレンズを使ったりもしましたが、どれでもブレを抑えきれませんでした。
今回結構ラフな撮り方をしているので、丁寧に撮れば改善はすると思いますが、性能としては明らかにα7CIIの方が上です。
ローリングシャッター歪み
最後にローリングシャッター歪みの比較をします。
扇風機の羽を電子シャッターで撮影して歪み量を確認します。右側が長く左側が短くなるほど歪みが大きいということになります。
歪みとブレが混ざるとわかりにくい結果になるので、SSは動画も静止画も最速の1/8000秒です。
まず写真からです。極端な差ではないですが、Zfの方が歪みは出にくいようです。
以前SONY機でも歪み比較をやっていて、ローリングシャッター歪みはセンサーの種類や画素数によって差が出ることがわかっています。
同じ裏面照射型だと画素数が少ない方が歪まないということだと思います。
続いて動画の方も比べてみました。
クロップされる機能は全てOFFにしていて4K30P。
4K30Pだとどちらも全画素読み出しのオーバーサンプリングなので、静止画と同じような結果になります。
ということで、ローリングシャッター歪みについては大差ではないですが基本的にZfの方が有利です。
α7CIIのメリット
続いてα7CIIのメリットについてお話します。
動画性能
まず1つ目は全体的な動画性能です。
α7CIIはカラーサンプリング4:2:2で10bit撮影ができたり、ビットレートの選択肢もあります。
緻密な色再現ができて編集にも強いですし、気軽に撮るときは低いビットレートでファイルサイズを抑えることもできます。
Zfは4:2:0 10bit撮影でビットレートの選択肢も少ないです。
加えて動画での手ぶれ補正性能の差もあるので、Vlogを撮ったりするならα7CIIのメリットは大きいと思います。
あとZfは動画撮影中に露出値が表示されないのは不思議ですが、代わりに波形モニターが使えてヒストグラムとは違ったモニタリングができるのはかなり良いと思います。
グリップ形状
2つ目にグリップ形状です。
α7CIIのグリップ形状は特別優れているわけではないんですが、大型のレンズでなければ片手で持って歩けるくらいの形ではあります。
Zfの方はデザイン重視なので、片手で持ち歩けるような形ではありません。
片手で全く持てないというわけではないんですが、僕はいつか落としそうな気がするので、基本ストラップをつけるのをオススメします。
純正やサードパーティのグリップエクステンションも出ているので、そっちで対応するのも良いと思います。
SmallRig製のグリップは値段もかなり安くて評判も良いです。
あとこれもデザインの都合かもしれませんが、カードスロットは側面ではなく底面にあるので、出し入れしにくいというのもあります。
軽さ
3つ目に軽さです。
α7CIIとZfで200gくらいの差があるので、やっぱり持ち運びも撮影も負担の大きさが違います。
α7CIIならレンズ次第で軽量ジンバルに乗るんですが、Zfはとても乗せられません。
ここでも動画機としての使い勝手に差が出ているなという印象です。
Zfのメリット
続いてZfのメリットについてお話します。
静止画性能
まず1つ目に静止画性能です。
今までお伝えした通り、連写速度が1秒14枚でプリキャプチャも使えて、高感度耐性も上ということで、静止画性能はZfの方が上の印象です。
画素数的にはα7CIIの方が上なんですが、SNSへのアップ用だったり印刷してもA4、A3くらいだったら2000万画素あれば十分すぎます。
大判印刷や強いトリミング前提で撮る方もいるかもしれませんが、日常使いでは高感度耐性に振ってあるZfの方が使いやすいと思います。
あと静止画ではファインダーの見やすさも大事です。
これは今までもずっとお伝えしていることですが、α7CIIのファインダーは倍率が小さくてアイピースカップがないことで使いやすいとはなかなか言えないです。
アイピースカップがあると目の周囲に当ててカメラを固定できるので安定感が全然違います。
Zfの方はしっかり安定してファインダーを除くことができるのでストレスがないです。光軸の水平方向のズレもないので望遠撮影もしやすいと思います。
ピクチャーコントロール
2つ目にピクチャーコントロールの使いやすさです。
SONYにはクリエイティブルックというカラープリセットがあるので、そのNikon版ということになるんですが、クリエイティブルックより使い勝手が良いです。
コントラストなどのパラメータ調整はどちらもできますが、Zfは適用度の調整ができます。
適用度100だと彩度やコントラストがキツ過ぎると思っても、適用度を下げるだけで使いやすくなったりします。
適用度調整すれば、よくわからないパラメータを調整しなくても済むとも思います。
しかもこれはLightroomでプリセットを適用するときも同じ。
とりあえず白飛び黒つぶれしないようにRAWで撮っておいて、現像でいろんなプリセットを試したり適用度を変えてみて、気に入ったものをJPEGで使うようにしても良いと思います。
モノクロ系のプリセットは適用度調整できませんが、そのままで十分すぎる仕上がりです。
クリエイティブルックもRAW現像で変えることはできますが、適用度調整はできないので大きな違いだと思います。
デザインと操作感
3つ目はデザインと操作感です。
やっぱりレトロな外観に惹かれてZfを選ぶという方は多いんじゃないでしょうか。
見た目もそうですが、上部のアナログダイヤルも質感や回転させた時の音も良いので一度触ってみるのをオススメします。
操作性、機能性重視で無駄も省いてというのを突き詰めると方向は違うと思いますが、撮影に楽しみを感じられる外観とデザインになっていると思います。
どっちを買うべきか
最後にどっちを買うべきかについてお話します。
今までの内容をかなり簡単にまとめてしまうと、α7CIIは写真も動画もという人向けでZfはそれよりも写真寄りになります。
やはり動画用手ぶれ補正の性能差について考えておいた方が良いですし、ピクチャーコントロールの自由度の高さもポイントです。
あとファインダー以外の操作性、機能性に関してはα7CIIが優れていることが多くて、デザインや操作感の良さはZfかなという感じです。
どちらも高い性能があるカメラですが、機能やデザインで用途は全然違ってくると思うのでじっくり考えて選んでみてください。
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